それでも融和か。コロナ弱りの全世界に牙をむく中国の卑劣な戦略

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あくまで強気に、そして他に類を見ないしたたかさで他国と対峙する習近平政権。そんな中国は、新型コロナに翻弄され混乱が続く各国に対して、この先どのような「攻撃」を仕掛けてくるのでしょうか。今回の無料メルマガ『日本の情報・戦略を考えるアメリカ通信』では株式会社オンザボード代表の和田憲治さんが、世界的戦略家として知られるエドワード・ルトワック氏の著作の内容を引きながら、中国外交の今後を考察しています。

全世界に牙をむくレベル「4.0」の中国

アメリカの戦略家、エドワード・ルトワックは、中国分析の『自滅する中国』『中国(チャイナ)4.0』を書いてますが、その中に面白い表現があります。

それが「中国は大国の自閉症に陥っている」。

もともと世界一の人口を抱え、一揆や内紛による王朝の交代劇を際限なく繰り返してきた中国大陸では、まずは、脆弱な自国内のルールの整備その統治に追われ、やっと自国が大国化できたときには、外敵がいなくなる。その結果、周囲の状況を正確に捉えられなくなり挙げ句、周辺諸国との協調ができなくなる…。

近年の中国大陸・中国共産党がどういうプロセスで今に至っているのか?ということを考えてみると、概ね、以下のような4段階を経ています。

■チャイナ1.0

トウ小平、江沢民時代。経済優先していく平和的台頭。1990年代に最高指導者、トウ小平が強調した「韜光養晦」(とうこうようかい)という中国の外交・安保の方針を出して、<能ある鷹は爪を隠す>という戦略。

経済力では日米にはとても敵わず、軍事力も米軍と比較もできない。しかし、現実としてこの戦略しかなかった。ちなみに、天安門事件によって沈みつつあった中国を地獄から引き上げたのが、あろうことか、あの日本の「天皇陛下訪中」である。

■チャイナ2.0

当時の国家主席、胡錦濤を「弱腰外交!」と突き上げて、2008年に起こったいわゆる「リーマン・ショック」の辺りから採用するようになった対外強硬路線。チャイナ・アップ↑&アメリカ・ダウン↓。「中国は既に米国を追い越し始めたのだ!」と増長を始めた時期。

■チャイナ3.0

2013年以降の習近平体制で「選択的攻撃」路線となり、相手を選んで、弱いと見るや攻撃的に出始めた時期。

そして、では■チャイナ4.0■はどうなるのか?

ルトワックの答えは、この本にはありませんが、おそらく「習近平“独裁”体制下の強行的全面拡張」路線となります。

「チャイナ2.0」時代の拡張路線はトップダウンで行われたわけではなく、当時「チャイナ9」とも呼ばれていた、共産党内序列最高位者達による「合議制」の中で決められたものでした。当時のトップであった胡錦濤が、強権を発動して…といったことではなかったのです。

しかし、現在の習近平独裁体制においては、コロナで弱って、統治に大混乱を来している欧米のお粗末な状況を狡猾に見透かして意図的・意欲的・野心的に、全世界相手に強気で全面大拡張戦略を取っている。

我々が今、直面しているのは、そういう現実なのです。そんな中、日本は中国と融和していくべきではないことはいうまでもありません。

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和田憲治 ON THE BOARD https://twitter.com/media_otb

和田憲治

image by: 360b / Shutterstock.com

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【著者】 アメリカ通信 【発行周期】 週刊、不定期

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