親中派が入り込んだか?バイデン政権の中国「柔軟対応」の裏側

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以前掲載の「バイデン新政権は口だけで何もせず?対中国『戦略的忍耐』の弱腰」でもお伝えしたとおり、前任者とは打って変わって中国に対する厳しさに欠けるとも言われるバイデン大統領。その姿勢の裏にはどのような思惑があり、関係各国にどういった影響を及ぼすのでしょうか。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』では著者で日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さんが、新政権は中国に対して「是々非々」を貫く可能性があるとしてその根拠を示すとともに、日本が強硬的な対中政策を取るべきではない理由を記しています。

バイデン政権の対中国政策と米株価の大混乱

バイデン政権の外交姿勢や対中政策が徐々に見えてきている。それと、米株式の大混乱であり、それとバイデン政権の中国政策を検討しよう。

バイデン大統領にとっては、国内問題の処理が何より急務である。コロナ感染拡大が米国を悩ませており、国民生活防衛と経済回復を直ちにおこなわなければならない。何より、米国民の分断で、バイデン大統領にとって決して楽な状況ではない。

これにより、外交問題は優先度が国内問題より低い。

サキ米大統領報道官は、米国が「21世紀を定義づける中国との熾烈な競争」の中にあると指摘し、中国の言動が国際機関などに悪影響を与えていると批判、「戦略的忍耐」を持ち同盟国と連携した対応を進めるとした。

サキ氏の一連の発言は、超党派で合意のある対中強硬路線は維持しながらも、その手法は転換する方針を示したようだ。

「戦略的忍耐」はオバマ元政権が用いた対北朝鮮政策のキーワードであり、時間を掛けて問題を解決するという感じである。

米中貿易合意は昨年2月に発効したが、中国による米国産品の購入は目標を下回っている。サキ氏は、依然として合意が有効かどうか問われたのに対し「さらに進める前に同盟国や連邦議会議員らと調整し、決断を下す」と語った。

サキ氏のニュアンスの中には、「戦略的忍耐」の意味として、政府機関内、また議会との調整をまずはじっくり行うとという内向きな根気ある調整を意味している可能性もある。

もう1つ、バイデン新大統領はトランプの「バイ・アメリカン」ルールを採用した。その内容はトランプより保護主義的である。国内経済立て直し優先ということである。

バイデン大統領は、台湾の駐米代表の大統領就任式への招待に加え、中国の圧力が増す間は、台湾への武器売却の継続を約束している。米中間の高官級交渉については、同盟諸国との協議後にする意向である。

しかし、バイデン政権発足後、米国務省のウェブサイトから「中国の脅威」、次世代移動通信網(5G)セキュリティなどの問題が主要政策項目から取り下げられた。

同サイトには、国内問題でもある、反腐敗、気候と環境保護、新型コロナウイルスなど17項目が掲載されている。

ここまでの意味は、冷戦の罠にはまらず協力する分野は協力し、「是々非々」を貫くということかもしれない。伝統的米国外交へ復帰することになるともとれる。

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