フェイクニュースがすぐ作れる今、誰もが認識しておくべき「嘘」のこと

 

4.初対面の人を信用するか、疑うか

知らない人と初めて会って、その人を信用するところからスタートするか、疑うところからスタートするかは、人によって異なる。常に他人を信頼できるような環境で育てば、初対面の人でも信頼するだろうが、何度も騙されて痛い目にあっている人は疑うに違いない。

私の場合、日本国内なら、基本的に信用するが、中国では完全には信用しないようにしている。中国で騙される人の多くは、日本国内にいるのと同じように考え、振る舞ってしまうからだ。

もし、計画的にその人の趣味や嗜好を調査し、その人の好みのタイプの人が目の前に現れ、好意を持って近づき、共通の趣味や嗜好の会話で盛り上がれば、その人を信用するに違いない。それを疑うならば、出会う人の全てを疑わなければならないからだ。

中国の千人計画に参加した学者が批判されているが、自分の好きな研究に予算をつけてもらって、中国の大学の教授の地位が用意されれば、誰でも中国に行くだろう。その研究成果が軍事用に使われるかどうかも、本人に分からないようにされれば、それを拒否することはない。

一般のビジネスでも同様だ。軍事転用可能な技術であっても、売上に苦しんでいる会社が、高額な技術ライセンス契約を中国企業から持ちかけられれば、それを拒否できるだろうか。

5.人は自分の好む情報のみを収集する

日本人はルールを守るのが当然と考えているが、海外にはルールを守る習慣がない人も大勢いるのだ。それらの人は自分の利益のために行動する。嘘をついても騙される方がバカだと考える。

また、日本人は「他人に迷惑をかけてはいけない」としつけられているが、それは非常に珍しいことだ。一般的には、「躾」(しつけ)という言葉や概念が存在しない。こうなると空気を読むという行為にも意味がなくなる。空気を読んでいる間に、一方的に襲われ、その理由を考えている間に全てが奪われる可能性もある。

たとえば、悪意ある他人から被害を受けるという話を信じられるだろうか。

人は自分が信じられる話だけを選んでその情報を収集する。だから、嫌な話は読まないし、聞かない。

フェイクニュースについても、自分が聞きたいストーリーのニュースは聞くが、自分に被害が及ぶようなニュースは聞かないだろう。しかし、どちらがフェイクかは分からない。フェイクニュースを流すのは、フェイクで利益を得る側であり、フェイクを信じさせるには、聞く人が好むように味付けられる。フェイクニュースほど抵抗なく頭に入ってくるのである。

■編集後記「締めの都々逸」

「お前嘘つき いやお前こそ 嘘の嘘なら それも嘘」

中条きよしの「嘘」という歌がありました。「折れたタバコの吸殻であなたの嘘が分かるのよ」という歌いだしです。

嘘が分かるのは、相手を愛しているからです。相手を熟知していなければ嘘は分かりません。

互いに嫌い合っている相手同士なら、相手の存在全てが嘘になるので、嘘でも何でもないわけですね。

何が本当で何が嘘なのか。本当に分からない時代になりました。こんな時代こそ、愛が重要なのです。何のこっちゃ!(坂口昌章)

image by: Shutterstock.com

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