フェイクニュースがすぐ作れる今、誰もが認識しておくべき「嘘」のこと

 

2.嘘をつくより、嘘を証明するのは困難

以前、テレビでフェイクニュースを制作している若者を紹介していた。彼は「2~3分で簡単にフェイクニュースが作れる」と語り、実際に作って見せた。

ネット上の政治家の写真をコピペし、そこに興味を引くように「○○氏は巨額な賄賂を受けとっていたことが発覚した」と書き込む。これでフェイクニュースの出来上がりである。

そして、SNSに上げ、アクセスが増えれば、報酬が得られる。簡単に大金を入手できるのである。

さすがに、現在はこれほど簡単には稼げないだろうが、フェイクニュースは消えていない。ネット上には虚偽の情報があふれている。

フェイクニュースは報酬のためにだけ流されるのではない。自分の不正を隠すため、対立する勢力の信用を失墜させるためにも流される。

しかも、フェイクニュースを流すのは簡単だが、それが虚偽であることを証明するには時間とお金が掛かる。爆弾テロで都市を破壊するのは一瞬だが、それを再建するには時間と費用が掛かるのと同じことだ。

というわけで、我々は日常的に大量の虚偽情報に囲まれて生活している。最早、何が真実で何が虚偽なのかは分からない。それでも、自分に直接的な被害がなければ、放置しておけば良いのだ。しかし、自分が損害を被るとなると話は別だ。

結局、損害を被る本人だけが虚偽の情報に対して戦い、大多数の他人はメディアの情報や多数意見を信じてしまうのである。

3.大きな嘘はばれにくい

我々は膨大な情報に囲まれており、そこには真実も虚偽も含まれている。本来ならば、一つ一つの事象に対して、反対意見もチェックし、裏を取らなければ、真実は見極められないが、自分に利害関係がなければ、そんな面倒なことをする人はいないだろう。

嘘は矛盾から発覚する。従って、小さな嘘より大きな嘘の方がばれにくい。

「僕はこの店に初めて来た」という嘘は、店の人に「○○さま、いつもご来店ありがとうございます」と言われれば、簡単にばれる。

しかし、「私はCIAのエージェントです」という嘘は、それを嘘だと証明できる人が出なければばれにくい。もし、その人の英語力が低かったり、学歴が低ければ、「嘘だ」と分かるだろう。逆に、頭脳明晰の帰国子女ならその可能性を否定するのは難しい。

更に、スケールの大きな歴史的な嘘、世界規模の嘘となると、まるで判断できない。

たとえば、「第二次世界大戦の開戦は共産主義者による工作から始まった」と言われても、それが真実か嘘かは判断のしようがない。

あるいは、今回の新型コロナが生物兵器から発生したのか、自然発生かも分からない。アビガンには効果があるという情報がある一方で、公的な検査では効果がないとされたが、これもどちらが真実かは素人には判断できない。

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