賠償金たった400万円。大津いじめ自殺事件の納得いかぬ最高裁判断

Court, courtroom, law.
 

2017年の11月の日経新聞には、このような記事が出ています。「名古屋市の青果仲卸会社の女性社員(当時21)が自殺したのは職場でのいじめやパワーハラスメントが原因として、女性の両親が同社と先輩社員2人に約6,400万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が30日、名古屋高裁であった。永野圧彦裁判長は自殺とパワハラの因果関係を認め、賠償額を165万円とした一審・名古屋地裁判決を変更し、約5,500万円の支払いを命じた。」とあります。

この判決と大津いじめ事件の判決、どうして大津事件の賠償額は400万円程度しか認められなかったのでしょうか。中学生では自分で自分を守ることさえ難しく、学校も守ってくれないという絶望の中で選んだ死であったのは明白だったと思うのです。しかも市と和解したという理由で減額するということなど、一般の価値観とは大きくずれているように思います。賠償金額に対するやっかみでもあったのでしょうか。高裁、最高裁の皆様には、この名古屋のパワハラと同等と感じられるような判断をして欲しかった。その金額の多寡も、現在もいじめをしているような子供たちへの牽制にもなりますし、教員の皆様にとっても、子供たちのいじめを止めるときの言葉の力ともなるはずです。

今回のこの最高裁の決定のニュースに接して、思うことは、いじめは「早期発見・早期解決」が重要だと改めて訴えたいということです。そのためには、何よりも「見て見ぬ振りをする教師、いじめを放置する教師」、「いじめ加害者を指導しない、注意しない、叱らない教師」をなくさねばならないということです。

現在放映されている『青のSP』というスクールポリスを扱ったテレビ番組で、主演の藤原竜也さんのセリフの中に、「いじめは暴行、傷害、恐喝」という言葉、「いじめたやつは犯罪者だ」という言葉がありました。私たちは「いじめは犯罪!絶対に許さない」とポスターを貼り続けており、ここまで浸透してきたんだという感慨もありますが、何よりこの言葉は「教師」、つまり先生方が自信を持って子供たちに語っていただきたい言葉なのです。

大津の事件が大きな問題提起をなして「いじめ防止対策推進法」が成立しましたが、この法律には、見て見ぬ振りをする教師に対しての処罰規定がありません。いじめに知らん顔をしても、罪に問われないのです。たとえ放置した生徒が自殺しても、罰せられないのです。確かに教育委員会からの処分を受けることはありますが、不十分です。

国として、子供たちを守るという姿勢を示さなければ、子供たちを守る確率を少しでも上げるためには、「ひどい教師は罰する」べきであると思います。また逆に、「頑張っている教師」を評価するシステムもつくるべきです。ぜひ、政治家の皆様のお力をお借りできれば幸いです。

もう2月です。4月には学年が上がり、クラス替えもあるかと思います。被害を受けている子の保護者の皆様で、「加害者の子と同じクラスは困る」と考えておられるようでしたら、すぐにも学校と相談することをおすすめいたします。間に合わなくなってしまいます。なにかありましたらご遠慮無く、ご相談ください。

一般財団法人 いじめから子供を守ろうネットワーク
代表 井澤一明

image by: Shutterstock.com

いじめから子供を守ろう!ネットワークこの著者の記事一覧

「いじめ」と学校の「いじめ隠ぺい」から、子供たちを救うための、父母によるネットワークです。いじめの実態やいじめ発見法、いじめ撃退法、学校との交渉法、いじめ相談などを掲載します。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 いじめから子供を守ろう!ネットワーク 』

【著者】 いじめから子供を守ろう!ネットワーク 【発行周期】 週刊

print
いま読まれてます

  • 賠償金たった400万円。大津いじめ自殺事件の納得いかぬ最高裁判断
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け