東電の呆れた自己満足。福島沖M7.3後の86万軒「計画的停電」の傲慢

 

私は静岡県の危機管理に関わる立場ですから、ただちに危機管理部に連絡しました。そこで驚かされたのは、静岡県の危機管理部も停電の理由を知らされていなかったという現実でした。停電があった事実を把握していただけだったのです。

識者談話にある「今回は短時間に停電が解消できており、これまでの経験が生かされた」というのは、電力会社側の自己満足の域を出ていないことがわかります。

そして私の指示によって、静岡県危機管理部が東京電力パワーグリッド静岡総支社に確認したところ、「福島県内の火力発電所停止に伴い、ブラックアウトを防ぐため、システム上設定された停電が原因」という説明がありました。やはり、そういう設計になっていたのです。

東京電力パワーグリッドとしては、3時間ほどの停電で全体がブラックアウトにならないのだから、それでよいと思っているのかも知れませんが、行政の危機管理部署が知らされていないのは問題と言わざるを得ません。

停電の措置は急を要しますから、遮断直前に告知するのが難しいことは理解できます。ならば、少なくとも行政の危機管理部署や医療機関に対して、大規模地震の時は停電が実施されることを周知しておくことが必要だと思います。結果オーライで済ますのではなく、起きた事象をもとに日本全体の危機管理能力を高め、次なる災害の被害を抑え込みたいものです。(小川和久)

image by:360b / Shutterstock.com

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地方新聞記者、週刊誌記者などを経て、日本初の軍事アナリストとして独立。国家安全保障に関する官邸機能強化会議議員、、内閣官房危機管理研究会主査などを歴任。一流ビジネスマンとして世界を相手に勝とうとすれば、メルマガが扱っている分野は外せない。

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