東電の呆れた自己満足。福島沖M7.3後の86万軒「計画的停電」の傲慢

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2月13日の夜遅くに起きた最大震度6強の地震では、直後から東京電力パワーグリッド(東電PG)管内で大規模な停電が発生。震源地から遠く、震度も3程度だった静岡県でも約15万軒が停電しました。東電PGの「ブラックアウト予防の設定どおり」との説明に、メルマガ『NEWSを疑え!』を主宰し、静岡県の危機管理に深く関わる小川和久さんは「結果オーライでしかなく自己満足」と厳しく指摘。そうした設定があるのであれば、事前に行政や医療機関に対し周知する必要があったと訴えています。

停電情報に欠けているもの

16日付の読売新聞に次の記事が掲載されました。13日深夜の宮城、福島での震度6強の地震に伴う停電に関するものです。少し長いですが、まずは全文から。

地震で「ブラックアウト」回避、予防的に送電遮断…神奈川・静岡でも

 

「福島県や宮城県で激しい揺れを観測した今回の地震では、東北から関東にかけての幅広い地域で最大95万戸が停電した。火力発電12基が停止し電力供給量が急減したのに対し、地域全体が全面停電する「ブラックアウト」を回避するため、一部地域への送電を遮断する措置がとられた。

 

停電は地震直後から発生。東京電力パワーグリッド(PG)管内では栃木県や神奈川県、静岡県東部など8県で最大86万320戸、東北電力ネットワーク管内では福島県や宮城県、岩手県、新潟県の4県で最大9万1897戸が停電した。

 

地震の揺れを受け、首都圏への一大供給源となる福島県の広野火力発電所(5、6号機計120万キロ・ワット)など福島、宮城、茨城3県にある火力発電が相次いで運転を停止した。設備に損傷がないかを点検した。

 

電気は、使用量に対して発電量が少ないと周波数が乱れ、地域全体が一斉に予想しないタイミングで停電するブラックアウトを起こす。医療機関や交通などにも停電が広がり、深刻な被害をもたらす。

 

2018年の北海道胆振東部地震では、大型火力発電所や水力、風力の発電が停止したが、送電調整が間に合わず、北海道全域約290万戸が停電するブラックアウトに陥った。復旧には2日間を要した。10年前の東日本大震災では原子力発電所の停止により、事前に決めた地域で停電して使用量を抑える計画停電を実施した。

 

今回の地震では、東電などはこうした事態に備えて定めていた計画に従い、神奈川県や静岡県も含め一部地域で停電に踏み切り、使用電力を強制的に減らした。停電は東電管内で約3時間、東北電力管内で翌14日午前9時ごろまで続いたが、大きな混乱にはならなかった。

 

電力システムに詳しい秋元圭吾・地球環境産業技術研究機構主席研究員は『地震が多い日本では、一時的な停電はやむを得ない。今回は短時間に停電が解消できており、これまでの経験が生かされた』と評価する」(出典:2月16日付 読売新聞

この読売の記事がなければ、関係者以外は停電が行われた目的はおろか、停電があったことすら知らなかったかも知れません。私も停電の直前に寝てしまったので、15日になって『日刊ゲンダイ』のHさんのFacebookによって初めて知ることになりました。

そこでHさんが投稿した東京電力パワーグリッドの停電情報(14日午前1時14分現在)をみると、停電の区域や対象軒数こそ表示されていますが、その原因や理由はどこにもありません。

区域は、栃木、茨城、埼玉、群馬、東京、千葉、神奈川、静岡、山梨となっており、軒数は東京10軒未満、埼玉240軒に対して神奈川19万2430軒、静岡14万9740軒…。東京、埼玉の停電を避け、首都機能を守ろうとしたのか、それとも元々のシステムがそういう設計なのか、わからないところがあります。

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