危機管理の専門家がワクチン接種の視察ニュースで感じた日本の終わり

 

記事によると、自民党の二階俊博幹事長は「政治家だからどうだと言うわけではないが、こうした時には率先して(接種を)行うべきものだ。他のことは遠慮して後ろに回って、こういう時は前に出てやる」と述べているそうですが、党内には「どうせパフォーマンスだろう」との批判や「特権を享受している上級国民だから優先的に接種できる」との声を気にする向きがあるようです。

国会議員全体が優先的に接種できることになれば、上級国民批判が出てもおかしくないでしょう。しかし、コロナ対策で範を垂れるべきリーダーが先頭に立って接種するというのは別問題です。それを実行しないようでは、リーダーシップも何もあったものではありません。

関連して、コロナとの戦いを「戦争」に例えることへの疑問も聞こえてきます。ウイルス学者の山内一也さんは2月19日付の朝日新聞で次のように述べています。

「私には、ウイルスを『敵』ととらえる考え方がしっくりきません。ウイルスが地球上に出現したのは、30億年前と考えられています。一方、ホモサピエンスはたかだか20万年前。人間は、ウイルスが存在していた世界に現れた新参者です。ウイルスを根絶できるという考えは、あまりに人間本位だと感じます。実際、人間がこれまで根絶できたウイルスは、天然痘と家畜伝染病の牛疫だけです」(2月19日付 朝日新聞)

その通りだと思います。しかし、現実に多くの人命が奪われているのです。そうである限り、ウイルスとの戦いと位置づけて対処することも避けられません。山内さんも手を打つなと言っている訳ではありません。命を救うという最優先順位から考えると、「戦争」なのです。(小川和久)

image by: 首相官邸

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地方新聞記者、週刊誌記者などを経て、日本初の軍事アナリストとして独立。国家安全保障に関する官邸機能強化会議議員、、内閣官房危機管理研究会主査などを歴任。一流ビジネスマンとして世界を相手に勝とうとすれば、メルマガが扱っている分野は外せない。

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