2カ月近くに及ぶ10都府県での緊急事態宣言の影響で苦しんでいるのは、当該都府県の飲食業だけではありません。都市部からの観光客が激減した地方の観光関連産業もその一つです。今回のメルマガ『永江一石の「何でも質問&何でも回答」メルマガ』には、旅客運送業を営む読者から事業の再構築の相談が届きました。配車アプリに光明を見い出したい読者に永江さんは、高齢者をターゲットにした運転代行の可能性を示唆。システムを組んだり使うより効果の上がる方法を提案します。
地方の旅客業でUberの配車システムは普及するか
Question
わたしは田舎の中山間地域で旅客運送業を営んでおります。コロナ禍の中でバスの売上が、前年75%減とジリ貧状態であり、給付金等も焼け石に水状態です。コロナ禍というより自粛禍となってしまった1年を経て、事業の再構築を検討しております。その中でウーバーのDX(デジタルトランスフォーメーション)といわれる配車サービスのシステムを地方都市でも導入できないものかと思い悩んでいるところです。
スマホの普及は田舎とはいえそれなりに出来ていると想像しているのですが、全国的にみても高齢者層の割合が特に多い地域であること、キャッシュレス決済の利用者がまだまだ少ないことなど考慮に入れた場合、田舎の旅客運送事業へのDX導入是非についてご意見いただければと思い質問させていただいた次第です。
永江さんからの回答
まず最初にDX(デジタルトランスフォーメーション)とは「デジタル技術による業務やビジネスの変革」のことです。詳しくは以下をご一読下さい。Uberもそうですね。
● 【DX入門編①】今更聞けないデジタルトランスフォーメーションの定義とは? : FUJITSU JOURNAL(富士通ジャーナル)
自分はGOを使っています。最初に申し訳ないのですが、地方部では配車サービスシステムに需要は見込めないので難しいと思います。
配車アプリって使ってみると分かりますがLINEでチャットをするような簡単なものではなく、決済や目的の設定などある程度リテラシーが必要です。スマホを持っていてもLINEしか使っていない高齢者が使えるようには作られていないんです。また、利用者だけでなく運転手だって、地方部ではカーナビすら使えない運転手さんもいるレベルなので正直DXは難しいでしょう。
さらに、そもそも配車サービスをシステム化することにニーズがありません。地方部でタクシーを呼ぶのって高齢者が病院に行く時くらいじゃないでしょうか。観光に来てタクシーを使う人は宿泊先で手配してもらうし、若者はタクシーなんて乗りません。その他の利用者も電話してタクシーを待つ時間を惜しむほど急いでいる人が地方部に多数いるとは思えません。
他だとタクシーではなく運転代行ならまだ可能性があるかもしれません。帰りが遅くなって暗い道を運転するのが怖い高齢者が、運転代行を手配しやすくしてあげるサービスです。運転代行ってタクシーと違い電話番号を探しづらいので、高齢者が集まる場所に電話番号を掲げたり、LINEでチャットすれば来てくれるとかするだけでも利用しやすくなると思います。
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