黒柳徹子の金言。我が子を「ズレた大人」にしない親の心がけとは?

 

ある時、顔を黒く塗ったシャネルズというグループがヒットチャートに躍り出て、地方でロケをすることになり、それを知った番組のファンが沢山集まりました。その時、現地でシャネルズを待っていた観客の中の1人、10代後半ぐらいの男性にインタビュアーがマイクを向けた時、こう言ったのです。

「シャネルズって、なんで黒人のくせに香水の名前付けてるんですか?」

その男性は少しヤンチャな風貌で、友人も数人一緒にいたので、少しおどけて言ったのだと思います。決して愚弄するつもりもなかったと思うのですが、その時黒柳さんが番組の流れを止めて、スタジオでカメラに向かって真剣な表情でこう言いました。

「シャネルズは黒人のくせに、という風に質問をなさった坊やがいらしたんですけれど。ああいう風に“何々のくせに”という風に、顔の色とか、国籍が違うということで、そういう風に区別をしたモノのいい方をすると、あたしは涙が出るほど、とっても悲しく思いますので。ぜひ、みなさん国籍が違う、そういったことで一段高いところから人を見下ろすような風に、偶然だったんだと思うんですよ、あのかたは。だけど、どうぞそんな風に何々のくせに、とかそういう風なことは言わないでください。お願いします」

(この言葉は、確認の為に私も調べて記載したのですが)書き出してみると、日本語の文法としてはおかしいし、黒柳さんが沸き上がる感情を必死で抑えている感じがします。ですが黒柳さんの「心の叫び」のような、その訴えは強烈に私の心に届きました。

あれだけ見ていた番組なのに(ずいぶん前の事でもあり)ほとんどの記憶はありませんが、この時の映像・雰囲気・黒柳さんの声、表情は、驚くほど克明に覚えています。それだけ私の中では強烈で、深く心に刻み込まれたんですね。

黒柳徹子さんって、いつも口調が軽快で面白くて、テレビでは怒った顔をなさることはほとんどありません。でも(というより「だからこそ」)黒柳さんの真剣な表情・番組の進行を止めてまでの訴えに「大事な事なんだ」と感じたと思うのです。

そして私はその後もずっと今に至るまで「〇〇のくせに」を自分でも言わない様になったのでした。

もちろん、自分が言わなくても、人から言われたことはあります。でもその時には、その言葉に腹が立つよりも「この人、残念な人だな」と、とても冷ややかな目で見ている自分がいました。それを考えると、子供に教えるときには「そんな言葉を使っちゃダメ」ではなく、「そこには差別の気持ちが隠れているよ」と教えたいですし、「差別」も含め理解してほしいと思うのですね。

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