大阪の医療崩壊は今に始まったことではない
そもそも第4波以前においても、大阪は新型コロナの死者が非常に多かったのです。5月16日時点での大阪の累計死者数は1,958人で東京を抜いて日本最悪となっています。
が、大阪は第3波のときにも東京を抜いて日本最悪となっていた時期もあったのです。
東京の人口は、大阪の人口の1.6倍もあります。しかも東京は日本の首都であり、世界中からたくさんの人が集まっています。その東京よりも、死者数で上回っているわけですから、いかに大阪の死者数が多いか、ということです。
100万人あたりの死者を比べると東京は140人で大阪は200人です。
なぜこれほど大阪では死者が多いのでしょうか?
はっきり言うと、橋下徹氏や「維新の会」の責任が大きいのです。
2008年に橋下徹氏が知事になってから、大阪府や大阪市は、「行政の無駄を省く」という号令のもと急激に公立病院を減らしました。
市立病院を独立法人化したり、府立病院に統合したりして、大幅に病院施設の削減を図りました。もちろん人員も大幅に削られることになります。
総務省の統計によると2007年の大阪府の公立病院には医者と看護師は8,785人いましたが、2019年には数半分以下の4,360人になっているのです。
ざっくり言えば、大阪の公立病院の「医療力」は、橋下氏と維新のために半減させられたといえるでしょう。この医者と看護師の数を半分以下にしたことが、新型コロナでの大阪の死者数の激増の最大の要因だといえるのです。橋下氏は維新の会は、ぜひこのことについて明確に説明していただきたいものです。
また維新は、赤十字病院や済生会病院など、慈善事業系の病院の補助金も大幅にカットしました。赤十字病院や済生会病院は、その地域の救急医療や感染症医療も担っていましたので、これも新型コロナの被害が拡大する要因となりました。
現在、大阪は「新型コロナ対策の医療関係者が不足している」として、自衛隊や近隣府県から看護士を派遣してもらったりしていますが、何のことはない、自らが医療関係者の数を減らしてきていたのです。
公立病院や慈善系の病院は、感染症や救急医療などにおいて中枢を担うものです。公立病院や慈善系の病院の戦力がダウンすれば、それはそのまま感染症対策や救急医療の低下につながるのです。