菅首相に足りない国家戦略を渋沢栄一が提言。日本が世界から求められている役割

 

世界が日本に求める役割とは

昨年12月には自民党も類似の提言を総理に提出されていて、経済財政諮問会議でも総理から保険分野ODAの積極的活用の発言があったようです。

日本は20年程前から、「人間の安全保障」を国家戦略として掲げ、その要がグローバルヘルスの推進でした。ただ、世界におけるグローバルヘルス促進者にも関わらず、また長寿国として知られているにも関わらず、そして先進国の中でも最もコロナ感染者、重症者、死亡者を抑え込んだにも関わらず、コロナ禍における「ワクチン外交」や「ワクチン接種」など国際舞台での日本の存在感はありません。

コロナ禍で世界が迷走している今こそ、日本はグローバルヘルスを確たる国家戦略として打ち出すべきです。人口が多い世界の途上国・新興国の保健医療課題の解決に寄与することは、これから人口減少が加速する日本の経済社会の今後の繁栄をデザインすることに加え、国際的なプレゼンス向上に繋がります。

パンデミックは今回では終わりません。人類がこの世に存在する限り、パンデミックは必ず繰り返されます。新型コロナウイルスをはじめ、その他の感染症に対応するワクチン、治療薬や検査キットへのアクセスの不平等を克服し、公平かつ確実な分配を実現するシステムを整えるために、グローバルヘルス分野の様々なステークホルダーの協働が重要です。

これらの国際協力や官民連携を進めることは日本経済や国民を守ることに繋がります。

現在、日本は極めて大事な時代の節目に立っています。今までの平成時代の数十年と比べると、これからの令和時代の数十年は全く異なるスピード感、規模感で社会変革が訪れます。その変化を裏付けるのが、日本の人口動態が「ひょうたん型」から「逆ピラミッド型」へと変貌することです。

このような時代でも繁栄できる日本社会の成長戦略の様々な先行投資の弾を現在から打つことが不可欠です。来年は日本が主催者となるアフリカ開発会議(TICAD 8)、そして2025年には関西大阪万博が開催されます。サステナブルな世界を日本が共に創る解決策を世界へ提示することで、日本は新しい時代のMade With Japanという成功体験を築くべきです。

□ ■ 付録:「渋沢栄一の『論語と算盤』を今、考える」■ □

『論語と算盤』経営塾オンライン 

『論語と算盤』論語と算盤は甚だ遠くして甚だ近いもの

正しい道理の富でなければ
その富は完全に永続することができない。
従って、論語と算盤という懸け離れたものを一致させる事が
今日のきわめて大切な務である。

富みの永続、サステナビリティに必要なのは論語「と」算盤であると栄一は唱えました。一見相容れない関係から新しい価値を生むことが、「と」の力です。これは、現在における環境「と」経済、保健「と」経済、ローカル「と」グローバルでも同じことが言えます。

『渋沢栄一 訓言集』国家と社会

経済に国境なし。
いずれの方面においても、わが智恵と勉強とをもって
進むことを主義としなければならない。

コロナ禍によって国境が閉鎖されたことで、人々の豊かな経済社会の暮らしに大きなマイナス効果があったことは明らかです。また、パンデミックに国境なしということも明らかです。国境内で対処しなければならないことが多い現状を踏まえながらも、国境なしの豊かな世の中を築くことは後世への責務です。智恵と勉強で進まなければなりません。

謹白

image by: 左 公益財団法人渋沢栄一記念財団 - Home | Facebook / 右 首相官邸

渋澤 健(しぶさわ・けん)

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