一歩間違えたら再起不能の大損も。働き盛り世代のパパを襲う生命保険の罠

shutterstock_563732173
 

我が子のためを思って加入している生命保険が、万が一のことが起きたとき、仇となってしまうケースもあるようです。今回のメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』では元国税調査官で作家の大村大次郎さんが、そんな「生命保険の罠」について詳しく解説。その上で、生命保険を相続税対策のアイテムとして上手に使う方法をレクチャーしています。

※本記事は有料メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』の2021年1月16日号、3月1日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール大村大次郎おおむらおおじろう
大阪府出身。10年間の国税局勤務の後、経理事務所などを経て経営コンサルタント、フリーライターに。主な著書に「あらゆる領収書は経費で落とせる」(中央公論新社)「悪の会計学」(双葉社)がある。

大村大次郎さんのメルマガ初月無料のお試し購読はこちら

 

働き盛り世代パパが陥りがちな「生命保険」の罠

働き盛りで、子育て真っ最中の人にとって、もし自分が急に死んでしまったら、ということは、非常に不安だと思われます。そのため、多額の生命保険をかけている人も多いようです。

しかし、この「働き盛りの人が子供のためにかける生命保険」というのは、落とし穴があります。

子供さんが小さい場合など、自分にもしものことがあったときのために、数千万円単位の生命保険に入っている人は、そう珍しくはないはずです。が、この生命保険の掛け方を間違えたら、大変なことになることがあるのです。

というのも多額の生命保険の受取人を子供名義にしたりすれば、多額の相続税が課せられるケースがあるのです。

相続税における生命保険の控除額は、1人500万円です。つまり、生命保険の保険金は相続人ひとりあたり500万円までは相続税がかからないのです。保険金が数百万円程度の生命保険ならば、大丈夫でしょう。

しかし、保険金が、数千万円や億単位の生命保険の場合、どうなるでしょうか?保険金にまともに相続税がかかってくるのです。

たとえば、もし自分が早く死んだら一人娘の将来が心配だとして、若い父親が娘を受取人にして、1億円の生命保険に入っていたとします。そして、不幸にも本当に若くして亡くなってしまったとします。

となると、この一人娘に1億円の保険金が入ってきます。法定相続人が妻と子供1人の計2人だった場合、生命保険の保険金は1,000万円までは非課税ということになります。が、この遺族の控除額は、基礎控除、未成年者控除、生命保険控除を入れても5,000万円くらいにしかなりません。だから、残りの5,000万円にまともに相続税がかかってくるのです。相続税額にして、なんと800万円です。

しかし、この相続税を防ぐ方法はあります。しかも簡単です。生命保険の受取人を、子供ではなく配偶者にしておけばいいのです。

前述のケースで、もし生命保険の受取人を妻(配偶者)にしておけば、配偶者控除が受けられます。相続税では配偶者には1億6,000万円までの控除があります。だから、1億円の生命保険を受け取っても相続税はかからないのです。

生命保険というのは、やっかいなもので、受取人名義が未成年であっても、その人がもらったということになるのです。実際は、妻が使用するという状況であっても、「妻が受け取った」ということにはならないのです。

だから、生命保険の受取人の名義は、よほどのことがない限り子供にしてはならないのです。

こういう面は、税制の欠陥ともいえるものであり、もっと丁寧な制度設計をするべきです。未成年の相続人などには、控除額をもっと拡大すべきだと思われます。が、今の時点では、いたしかたありませんので、若い親御さんなどは子供のために生命保険に入る場合は、気を付けてください。

大村大次郎さんのメルマガ初月無料のお試し購読はこちら

 

print
いま読まれてます

  • 一歩間違えたら再起不能の大損も。働き盛り世代のパパを襲う生命保険の罠
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け