小池知事の誤算。「都民ファースト」への裏切りで消えた首相の座

 

国家の大転換期に

前回は、資源再利用(リユース・リサイクル)が進むことを話した。日本には江戸時代という先行した完全循環型社会がある。それと自給自足経済という、もう1つの社会であったが、日本の現状を見ると、この地産地消経済に移行するしかない状況になっている。

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日本の経済指標は、世界の新興国や途上国と同列に位置し始めている。とうとう、日本は貧しい国になったようだ。海外旅行をすると、欧米の物価が日本に比べて高いし、日本食を食べようとしても高い。

日本は世界第3位の経済大国という幻想は、止めた方が良い。日本の将来は、貧しくても心豊かな国という位置づけにして、それに対して、どのような政策をとるかが重要なのである。

もう、人口減少の日本は、経済大国を目指すこともできない。次の目標を設定するしかない。そして、コロナで日本の脆弱性をイヤというほど、国民も知ったはずである。もう幻想を抱いてはいけない。

その結果、自由貿易が国益ではなくなって、保護貿易が国益にかなっていることになってきた。

貧困率は高く、給与は低い。年金支給額も低く、70歳まで働けという。これらは、日本が貧乏になってきたことの証拠である。日本が貧しくなるということは、海外から食糧、エネルギー、資源を持ってこられなくなるということだ。価格が上昇して買えないからで、木材、ロブスター、牛肉、大豆、飼料、石油なども国内で調達にする必要になる。

この意味で、今後は江戸時代と同じような国内での自給が必要になってくる。高級品の果実や日本酒、ワイン、伊勢海老などは輸出に特化すればよいのである。一般的な日本人には、手が出ないほど高くすればよい。

一番問題であるのは、エネルギーの輸入であるが、これも太陽光発電と水力発電、風力発電などで、国内の消費を賄うことができるようになる。国内調達より安いなら海外から輸入してもよいが、それも徐々に難しくなる。円の価値が大きく下がって来るからだ。

この自給産業群を日本で作り、海外からの輸入を止めていくことである。地産地消経済では、太陽光パネルなども国内で作るなど、国内産業保護の重要な転換点になる。半導体産業も同様である。

中国は、安値で輸出して、世界から産業を奪取しようとしているが、日本は自給自足経済にシフトして、自国の必需品は、自国で賄うことである。江戸時代の大蔵永常の「国産考」に従うことだ。

もう1つが、海上封鎖を中国にされても、日本は大丈夫しておくことである。後十年もしたら、米国より中国の方が国力や海軍力が上になり、海上の逆封鎖も起こりえる。可能性があることには安全保障上の保険を掛ける必要がある。特に原油輸送ルートが危ない。

このためにも、経産省が企業指導を徹底的に行う必要がある。東芝での指導のようなことも起こりえるが、国益を守る必要がある。しかし、そのためには、資本構成にも完全な国営企業にしないレベルでの国家資本の投入をする必要がある。日銀の株式+GPIF+国家投資機関などで、郵政やNTTと同じように半数を抑えることである。国家資本主義にして産業育成を積極的に行う体制が必要である。

国益に関係する企業と純粋民間企業を分けて考える必要もある。国益関与会社には、口もカネも出すことだ。この良い例が携帯会社への口出しであるが、許認可を国がしているからである。

菅政権は、4つの分野を重点にするとした。グリーン分野、デジタル・ガバメントの確立、地方創生、少子化であるが、この分野をどう進めるのか具体策が必要である。

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