仮に「監視員」というのを置くとなると、こうした難しさというのはその監視員に「のしかかって」来ることは目に見えています。
仮に英語のできる監視員を配置するにしても、「日本ではワクチンへの不信が根深いので、接種を急ぐことができなかった。その上で、島国ということもあり、外国からの感染への警戒感も強い。そのため、科学的に合理的な範囲を超えて、東京都民の感情論をコントロールしないと、大会は日々激しい反対に晒されてしまうことになる。だから事実とか、科学の問題でなく、とにかくこの規制を理解して、受け入れて欲しい」などという正直ベースのお願いを真剣に、かつ信念を持って説明できるような人材はいないと思います。
また、下手に英語が出来る監視員であれば、それこそ海外の選手や報道関係者に説得されて「おっしゃる通りですね」などと引き下がってしまうでしょう。どうしても「引き下がるな」と命令されていて、会話が破綻しているのに押し通すような姿勢を通しては、生半可に英語ができる人に限って、日本のイメージを破壊して回るようなことにもなりかねません。下手をすると、口論などのトラブルも避けられないと思います。
となると、英語を話さない人にしか任せられないわけですが、その場合は、東京や大阪の「見回り隊」のように「プラカードを掲げ」るとか、「説明チラシを配る」などの無言対応になるわけで、そこで「意味不明な(関係性の危機をカバーする本能から来る)微笑み」を貫き通していれば、これもまた、日本のイメージを壊すだけだと思います。(メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』より一部抜粋)
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image by: 丸川珠代 - Home | Facebook