なぜトヨタ生産方式「生みの親」大野耐一は“型破り”でも許されたのか

 

また、マネジメントとしての思考指針を整理したいのでドラッカーの言っていることを、いつものように顧りみます。

「企業の目的(顧客創造)を達するには、富を生むべき資源を活用しなければならない。資源を生産的に使用する必要がある。これが企業の管理的機能である。この機能の経済的な側面が“生産性”である」

「目に見えるコストの形をとらなくとも、生産性に重大な影響を与える要因がいくつかある」

として、その資源となる“知識”をあげます。

「“知識”とは正しく使用したとき、もっとも生産的な資源となる。逆にまちがって適用したとき、もっとも高価でありながら、まったく生産的でない資源となる」

と語っています。

ここからトヨタの「“知識”の創造基盤」について考えて行きますが、その系譜については、ものづくりについては3人の人物があげられ、マネジメントのついては1人の人物があげられます。ものづくりは「豊田佐吉翁」「豊田喜一郎さん」「大野耐一さん」そしてマネジメントについては「石田退三さん」があげられます。

トヨタのホームページを見ると

「生産方式の概念」として、「お客様に『もっといいクルマ』をお届けするためには『人間の知恵や工夫』が欠かせません。『自ら考え、改善に結びつけることができる人材』を今後も育て続けることに徹底的にこだわっていきます」

とあり、さらりと読むと何ともないのですが、これが“核心”であって。

ここで核心というのは「“改善”に結びつけることができる人材」とは誰かということで、トヨタでは「現場で働く従業員全員」だとし、それを成しているのだから驚くべきことです。そこには大野耐一さんという破天荒な人物の活動があり、そんな人材を積極的に支援し評価するトップマネジメントがいたのでした。

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