なぜトヨタ生産方式「生みの親」大野耐一は“型破り”でも許されたのか

London,,Uk,-,October,26th,2018:,Hand,Holding,A,Toyota
 

マネジメントの代表格として名高い「トヨタ生産方式」ですが、その生みの親である大野耐一氏についてみなさんはご存知でしょうか? メルマガ『戦略経営の「よもやま話」』の著者、浅井良一さんは「こんな型破りな人がどうして活躍できたのか」という疑問を抱き、その人物像とトヨタという企業について、マネジメントの観点から詳しく掘り下げています。

エクセレント・カンパニーの資産  問題解決中毒

トヨタの株価が、1949年の上場以来初めて1万円台に乗せたそうです。時価総額は32兆円を超え2位のソフトバンクの2倍以上で、地味だけれどその底強さはひときわ際立っています。

そんなトヨタに、常々不思議に思っていたことがあったのです。それは「トヨタ生産方式」の生みの親・大野耐一さんの存在で、この型破りな人物がどうして活躍ができたのかということです。その活動は、豊田喜一郎さんの「ジャストインタイム」や豊田佐吉翁のものづくりの考えを含む、他に類を見ない独創です。

「トヨタ生産方式」では「かんばん方式」や「ニンベンの付いた自働化」などがあげられるのですが、そのことにもまして“現場の専門家”である“従業員の知恵”が総動員される「カイゼン」が驚きなのです。そこがポイントで、ものづくりの「真実の瞬間」に“現地”で“現物”に“現実”に「智恵」が尽きることなくつくり込まれるのです。

「三人寄れば文殊の知恵」なのですが、繰り返しになりますが現場にいて、最も現物と現実と知悉する従業員が「カイゼン」の知恵を絞り出すのだから戦略的な判断が間違えなければ“強さ”は続くでしょう。故にトヨタは、経営者および起業家が、そのマネジメントの根源をベンチマーク(取り込み)しなければならないモデルとなるのです。

ところが、多くの学ぶ意欲のある企業がトヨタをベンチマーキングして、その仕組みを取り込もうとするのですが「方式」を学ぶことはできるのですが“文化”までは取り込めず「強みの形成」にまで至りません。あの経営の神様・松下幸之助さんでも、それを学ぼうとしてもトヨタ通りにはいかず、そのあり様に感嘆しているのです。

トヨタの社員を評して、こんなことが言われています。「社員が『問題解決中毒』になっているような状態だ」と。問題がないところに課題を見つけ“カイゼン”を尽きることなく続けます。その基盤をつくり上げた立役者が、トヨタ生産方式の生みの親である大野耐一さんという型破りな人物でした。

トヨタには大野耐一さんを活躍させる環境があり、それを探ろうとしているのですが、マニュアル的にハウツーを学べばよいといった表層のものでなく、多くの要因が重層的に重なっております。よりよく理解するために、いくつかの予備知識を得たいので、すこし横道に逸れるのですが確認して行きたいと思います。

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