なぜトヨタ生産方式「生みの親」大野耐一は“型破り”でも許されたのか

 

普遍の世界

最後に、大野耐一さんがどう感じていたのかをいくつか列挙します。

「会社には発明王の遺風が残っていて、無意識のうちに世界レベルがいかなるものであるかを知りえたように思う。その後、豊田喜一郎氏という先見性では比類のない人物にめぐりあうことができた。私の身辺には、世界的に通用する『普遍の世界』が開かれていたことになる」

「佐吉翁が、お婆さんが機を織るのを終日立ち尽くして見ていて、機の動く調子がだんだんとわかってきたこと、見れば見るほどおもしろくなってくること、この態度に感動した。私は口を酸っぱくして言っている対象物に5回『なぜ』を繰り返してみるという思考原則も、じつをいうと、佐吉翁のこうした態度に通ずるものである」

「“ジャスト・イン・タイム”の一言が、いく人かに一種の啓示を与えた。私も取りつかれた一人で、最初から現在にいたるまで取りつかれっ放しで。言葉自体、目新しかったが、引きつかれたのはその中身で。必要な部品が必要なときに、必要な量だけ、生産ラインの脇に同時に到着する光景は、想像するだけでも楽しいし、刺激的であった」

image by: Ink Drop / Shutterstock.com

浅井良一この著者の記事一覧

戦略経営のためには、各業務部門のシステム化が必要です。またその各部門のシステムを、ミッションの実現のために有機的に結合させていかなければなりません。それと同時に正しい戦略経営の知識と知恵を身につけなければなりません。ここでは、よもやま話として基本的なマネジメントの話も併せて紹介します。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 戦略経営の「よもやま話」 』

【著者】 浅井良一 【発行周期】 ほぼ週刊

print
いま読まれてます

  • なぜトヨタ生産方式「生みの親」大野耐一は“型破り”でも許されたのか
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け