「彼女がおかしくなったのは、妊娠してからです。異常ともいえる発言や態度が繰り返され、どんどんエスカレートしていきました。僕は何も悪いことをしていないのに、です」
と、肩を落とす陽一さん。
例えば、陽一さんが早く帰れば、彼女は「何で早く帰ってくるの?」と怒り、帰りが遅くなればなったで「こんな時間まで何やってたの?」と怒り出すという具合です。そうやって些細なことでいつも喧嘩に発展するのですが、そのたびに「死ね、ボケ、最低」などの罵詈雑言を浴びせられ、胃が痛くなることを繰り返していたとか。
二人が一緒に暮らし始めたのは妊娠が判明してから。彼女が彼のアパートに転がり込み、同棲生活が始まったそうです。アパートは築35年のオンボロで、1DKの間取り。
「もしかすると、住んでいる場所が悪いのかも。以前の彼女に戻ってくれれば」と思い、陽一さんは入籍後に少し無理をして、近くに4千万円のマンションを購入し、35年の住宅ローンを組みました。これから家族が増えて子育てをしていくのだから、やや大きめのマンションを選んだのです。しかし、陽一さんの努力とは裏腹に、彼女の態度は改善の兆候など少しも見られませんでした。新しいマンションに引っ越しても彼女が「平常心」を取り戻すことはなかったのです。
「日に日にツワリが酷くなり、一人で家に置いておくのも不安になったため、まだ妊娠7カ月目でしたが、実家に帰ってもらいました」
陽一さんはそう振り返りました。慣れ親しんだ実家で両親と過ごせば、少しは心が落ち着くだろうと考えたからです。しかし、陽一さんが「良かれ」と思って講じた対応は次々と裏目に出てしまいます。
「彼女からの連絡がまったく無くなりました。心配になった私は、実家に何度も電話をしましたが、電話に出るのは彼女の母親ばかりで、彼女につないでもらえませんでした」