カネ漬けで“中国依存症”国家を量産。習近平「武力を使わぬ」覇権拡大

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先日掲載の「米軍は台湾にすら近づけず。情報筋が明かした中国人民解放軍『真の実力』」では、今後の米中軍事バランスを大きく左右する「2つのカギ」を挙げその各々について考察した、元国連紛争調停官の島田久仁彦さん。島田さんは今回のメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』で、かつて中国政府の高官から直接聞いたという、習近平政権がASEAN諸国で行なっている「テスト」の存在を明らかにするとともに、着々と進む中国による世界覇権拡大戦略を分析・考察。その上で、築かれつつある新国際秩序の中心には、良くも悪くも強い中国が存在することになるとの考えを記しています。

【関連】米軍は台湾にすら近づけず。情報筋が明かした中国人民解放軍「真の実力」

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中国は本当に名実ともに超大国になったのか?

ここ20年ほどで顕著に実力を伸ばし、覇権拡大への意欲を露わにしている中国。そして【アメリカに追いつき追い越す】可能性について議論されるようになり、アメリカの政府内(議会を含む)では【中国脅威論】が高まる一方です。

トランプ政権時代には、トランプ氏が大統領就任時には蜜月の関係を演出していたようにも見えましたが、初の米中首脳会談の晩餐会時に、シリアに対してトマホーク巡航ミサイルを70発弱発射することで暗に脅しをかけ、実際には高まり続ける、国際情勢における中国のプレゼンスに激しく反応し、対中制裁を連発しました。軍事的な衝突は起きませんでしたが、米中間の経済関係と信頼は大きく傷つけられたと言われています。

その後、アメリカサイドではバイデン政権が誕生し、大方の予想に反して、対中脅威論はさらに高まり、経済的な側面はもちろん、トランプ政権時には噂こそされても、実行に向けたプロセスは進めなかった軍事的な対峙の可能性もささやかれています。

国際協調への復帰を公言したバイデン大統領のアメリカ外交に引っ張られるように、欧州各国も「中国離れ・アジアシフト」を本格的に進め、日本は台湾へのコミットメントの強化の明言と、(軍事)防衛力の強化に向けた合意をアメリカ政府、そしてG7各国とかわすことになりました。

クアッド、平和で安定したインド太平洋戦略などと合わせ、対中包囲網の強化が進められました。

“世界”が中国を超大国と認識した証と言われます。

しかし、それまで世界を牛耳ってきた欧米社会に対する中国の軍事的・経済・社会的な挑戦と、それを支える戦略の背後にある“事実”を単純明快に説明することは容易ではありません。

それは、欧米社会や日本が辿ってきた発展のプロセスとは異なり、中国共産党による一党支配、イデオロギー、経済発展のための周到な戦略、軍事的な戦略と軍拡、科学技術の習得と応用のための官民一体となった徹底的な戦略、そして「中華民族の再興と統一」というわかりやすく、人心を掌握しやすい目的の設定…。

中国の力の根源は、さまざまな側面を同時に有しているからだと考えられます。

これまでは、日本という例外を除けば、「圧倒的な軍事力とそれに支えられる政治的影響力と外交力」、「圧倒的な経済力と技術力を通じた世界市場における支配力」、そして「文化・カルチャーの普及による思考への影響力」という、大きく分けて3つの力による覇権構造だったと考えますが、中国のそれは、各要素が補完的に作用しつつ、対象を使い分けている点が興味深く思います。

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