日航墜落機「所在不明」の怪。中曽根元首相は何を隠そうとしたのか

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1985年8月12日、東京羽田空港発大阪伊丹空港行きの日本航空ジャンボ機123便が非常事態に陥り、群馬県多野郡上野村の山中に墜落。乗員乗客524名のうち520名が死亡する惨事となりました。この“事故”には多くの謎があり、真相に迫ろうとするドキュメンタリーやノンフィクションも多くあります。今回のメルマガ『佐高信の筆刀両断』では、著者で評論家の佐高信さんが、青山透子さんによる2冊のノンフィクションに関連し、日航がメディアと癒着とも言える関係を築いていることや、事故当時の中曽根首相の不可解な言動に疑惑の目を向けています。

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日航機墜落と中曽根康弘

私が『時代を撃つノンフィクション100』(岩波新書)の1冊に選んだ『日航123便 墜落の新事実』(河出文庫)の著者、青山透子から『日航123便墜落 疑惑のはじまり』(河出文庫)が届いた。

青山の本は墜落に米軍機がからんでいたことを示唆しているが、中の手紙に「日本航空会長植木義晴氏の示唆で、一部の日航社員らによる、青山透子への訓謗中傷や、事実無根の内容で悪意をもった流言飛語の嫌がらせがありました」と書かれていて、日航は変わらないな、と思った。

日航をモデルにした山崎豊子の『沈まぬ太陽』が映画化された時、日航からの妨害を押し切った角川歴彦を励ます「公開を成功させる応援団・総決起集会」が開かれた。2009年10月18日のことである。私も高杉良やなかにし礼と共に参加したが、メディアの人間はほとんどいなかった。

それは異様なほどで、『腐った翼 JAL消滅への60年』を書いた森功と対談した時、私が、「なぜ日航はそんなにメディアに対して高飛車になれるかというと、海外取材なんかで多くの記者が…」と言ったのを受けて森は、「タダで乗せてもらったりしているんだと思います。『沈まぬ太陽』の中にもほぼ実話として登場しますよね。記者がファーストクラスでヨーロッパに行く。ひどい話になると、休暇の時にヨーロッパにファーストクラスで連れて行ってもらった某新聞社の記者もいらっしゃるそうですから」と皮肉った。

青山にとって墜落機で亡くなったスチュワーデス、すなわち客室乗務員は「手取り足取り」仕事を教えてくれた先輩だった。123便が落ちた群馬県上野村の元村長、黒澤丈夫が声を荒げて青山に語ったという指摘も忘れられない。黒澤は当時の首相、中曽根康弘の海軍の先輩である。

「墜落現場が分からない、こういう問題に対して日本政府は何も準備していなかった。だいたいこのような大事故が起きた時は、誰が事故収拾の最高責任者かというと、もちろん総理大臣だ。空から山が燃えているのが見える。そんな状況なら昔の海軍のやり方では、燃えている上空でヘリなり飛行機なりに何ヘルツの電波を出せと言って出させる。それを東京から測る、前橋から測る、それで2つがぶつかったところの下が地図で燃えているところだ。そういうことを誰かやる者がなかったのか。(中略)

 

あの後、あれよりも小さいが、イギリスで似たような航空機墜落の事故が起きてね。その時、何十人か死んだが、そうしたらサッチャー氏はたちまち、現場に首相として飛んで行ったわけですよ。皆の労をねぎらい、きちんと指示するところを指示した。ところが当時の日本の総理大臣は軽井沢でゴルフをやっている。運輸大臣も何も言わない」

軽井沢から戻る列車の中で墜落を知った中曽根は「私が合図するまでは公式に発表してはならん」と指示したらしい。何か隠さなければならない事実があったのである。

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image by:PATARA / Shutterstock.com

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