*東京五輪は、「負の遺産」を残さないよう、開催費抑制を重視して行うことになったはずで、だからこそ国立競技場新設費用についても3000億円と言われたザハ・ハディド案が拒否されたのだが、結局は「負の遺産」になってしまいそうだという以下の記事。
2019年7月30日付
「五輪は今世紀に入り、国の威信を懸けて整備した豪勢な会場が、大会後にホワイトエレファント(無用の長物)となるケースが相次いだ。開催都市が重い財政負担に苦しむ事態に、五輪招致に名乗り出る都市が減少。危機感を覚えたIOCが開催費抑制を重視して迎えるのが東京五輪だ。整備費が3千億円超に上る見通しとなった新国立競技場は15年に白紙撤回され、解体費を含めて最大1670億円の予定の現計画に変更した。ただ騒動の中で後利用まで議論を深めなかったツケが回ってきている」と。
*さらに、コロナ禍で緊急事態宣言下、無観客で開催されるメイン会場(入場料収入ゼロ)は、「無用の長物を意味する「ホワイトエレファント」にも見える」(2021年7月20日付)と。
●uttiiの眼
言論空間においては、小池都知事が操る「良いレガシー」と批判側が使う「ホワイトエレファント」が概念として対抗しているようだ。現実には、国立競技場をそのまま陸上競技場として使う場合でも、大規模修繕費を含む膨大な維持費がかかるのに、球技専用に回収する際には、いくら掛かるか分からない「改修費」が上乗せされる。
これが最大のネックとなって、とてもではないが「レガシー」などと気取ってはいられないのが実情だろう。問題は、「ホワイトエレファント」を贈られそうになっているのは、王様の気に入らない家来ではなく、都民であり、国民全体だということだろう。
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