日本の「当然」が海外では「意外」? NYでセミの抜け殻を見て考えた

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晩夏の季語で、儚いもののたとえとしても用いられる「空蝉」。読んで字の如くセミの抜け殻を意味する言葉ですが、そこに意味を見出す感覚は日本人独特のものかもしれません。今回の『メルマガ「ニューヨークの遊び方」』では著者でNY在住の人気ブロガー・りばてぃさんが、現地の公園で誰も見向きもしない蝉の抜け殻を目にして考えた、「多様性」にも通ずる思いを綴っています。

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季語と日本人の心

久しぶりに撮影のためにワシントン・スクエア・パークへ。

ダウンタウン西側のSOHOから少し北に上がったところにある公園。

ニューヨーク大学の校舎が立ち並ぶエリアでもありますし、有名ジャズクラブのブルーノート本店も近くにあるなど飲食店やバーも多く、特に夜は飲み屋街としても賑わうエリアです。

そんなエリアにあるこの公園は、日中は近所に住む方々や子ども連れ、ミュージシャンの演奏などのんびり過ごす地元の人たちが集まる憩いの場になってまして、夏は真ん中の大きな噴水に水が貯められミニプールになっていて水着で遊ぶ子どもたちで賑わったりしています。

とにかく地元の人々に愛されている公園なのです。なので、取材に行った日の日中は30度を超える猛暑で、午前中だったけどもすでに30度近くても、相変わらず地元ニューヨーカーで賑わってました。

もう平和そのもの。のんびりまったりと撮影をしていたのですが、ふと公園のベンチ横にある木を見るととっても立派な蝉の抜け殻がくっついていたのです。抜けてそのままの状態。

ツイッターに載せたので写真を見たい方はこちらからどうぞ。

Liberty/ りばてぃ

日本の田舎でもこんな綺麗なのは見たことないなぁというほど立派で、夫と一緒に興奮ぎみに撮影して楽しかったのですが、すぐ近くのベンチに座っていた人たちはまったく興味を示しておらず、このアジア人は何を撮っているのだろう?と不思議に思っていたかもしれません。

蝶々なら綺麗とかふわふわ飛んでいて可愛いとか思ったり、鳥さんだったら珍しい鳥だとかあるかもしれません。実際、バードウォッチングはNYではメジャーですし珍しい鳥や動物がNYに来たらニュースで報じられるほどだったりします。

最近では白いフクロウさんとか、オシドリさんとか。

そんなわけでニューヨーカーが自然のものに興味がないわけではないのですが、蝉に対してはあまり興味がないようでした。

でも、日本では蝉の抜け殻は季語になっているほど身近で文化に根ざしています。

季語で有名なものには、蝉が脱皮して空になったことを表す「空蝉(うつせみ)」。

子季語には蝉の殻、蝉の抜殻、蝉のもぬけなどがあるそうです。

日本人は蝉の鳴き声を聞くと夏の風物詩と感じ、抜け殻を見ると夏の終わりを告げるものとして俳句や和歌に残したりします。言葉にしなくても風情を感じたりするわけです。

特に蝉は、地中に出て脱皮して元気に鳴いていてもその期間は1週間ほど。

土の中での生活が長いとはいえ、成虫としての寿命があまりにも短いので、蝉の人生とあっという間に過ぎ去る自分の人生を重ねたり、一生とは何かを考えたりします。俳句や和歌だけじゃなく小説やエッセイなどでも蝉に関する表現は出てくるでしょう。

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