子どもの自殺、2021年はすでに270名。コロナ禍の新学期、生きづらさにどう対応?

 

実際、子どもたちの支援をしている団体には、生きづらさを抱えた子どもや若者からの相談が激増していて、ボランティアのスタッフが24時間365日の態勢で、相談に対応しているそうです。

気になるのは7月の相談件数が、去年の同じ時期よりも多く、8月に入ってからは、さらに増えているリアルです。大人でも長期化する非日常の世界にストレスが高まっていますし、先行きの見えない状況に不安が高まっているので、リソースが限られる子どもたちの苦悩がそれ以上になっていることは容易に想像がつきます。

が、子どもの胸の内は、大人が考える以上に複雑です。

コロナ禍で顕在化したものの一つに、「教育格差問題」がありますが日本財団が昨年12月に全国の17歳~19歳男女にアンケート調査を実施したところ…、「教育格差を感じたことがありますか」との問いに、48.9%が「感じる」と答え、「教育格差の原因はなんだと思うか?」との問いに、

  • 子どもは親を選べない
  • 自力でどうにもできない
  • 金がなければ塾も大学もいけない
  • 経済力がなければ勉強できない
  • 親の仕事がないので学費がない
  • お金がなければ何も始まらない

といった意見が記されていたのです。

以前、自殺予防のシンポジウムにパネリストで参加したとき、子どもの自殺対策に取り組んでいる先生が「ストレス社会でイライラした大人たちが、それを子どもたちにぶつける。その結果、子どもたちは傷ついていく。子どもの自殺は大人が原因」と、大人社会を批判していました。

生きづらさを感じている子どもたちを助けるために、多くの団体の人たちが昼夜問わずサポートしています。

しかし、子どもの社会は、大人社会の縮図です。大切な命の犠牲者を出さないためには、大人社会の根本的な問題も解決する必要がある。その一つが非正規雇用問題、低賃金問題などの雇用問題です。そして、もう一つが子どもたちが1日も早く「いつもどおり」の生活を取り戻せるように、大人が感染しない努力を続けることだと思うのです。

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image by: Shutterstock.com

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