法則2 ~ でも制裁は解除してほしい
法則2は、「でも制裁は解除してほしい」です。もっというと、「でも、制裁解除、経済支援、体制保証してほしい」です。要するに、金正恩は、「核兵器は放棄しないけど、制裁を解除してほしい」のです。
これは、理解できるでしょう。
2017年、金正恩は、ものすごい勢いで、核兵器実験、ミサイル実験をしていました。それで、中国、ロシアも北朝鮮を守るのが難しくなり、国連安保理は、北に厳しい制裁を科すことを決めたのです。そのせいで、北朝鮮経済は、とても苦しい状態がつづいている。だから、金正恩は、「核兵器を放棄せず、制裁を解除してほしい」。ですが、「核兵器を放棄せず」というと、制裁解除はかなわないので、「核兵器を放棄する」とウソをついて、交渉するわけです。
北朝鮮は、アメリカを信じられない。同じように、アメリカも北朝鮮を信じることができません。北朝鮮は1994年の米中合意時、「核兵器開発の凍結」を宣言した。しかし、実際は開発をつづけていました。2005年の「6か国共同宣言」では、「すべての核兵器破棄」を約束。しかし、実際には破棄しませんでした。
それでアメリカも、なかなか金正恩を信じることができない。そして、「信じることができない」のは正解でしょう。
「2つの法則」から見る、相次ぐミサイル発射
2つの法則を押さえた上で、相次ぐミサイル発射実験を考えてみましょう。
2017年、北朝鮮は、核兵器実験、ミサイル実験をものすごい勢いで行っていました。結果、トランプが「直接交渉」に乗り出してきた。2018年6月、シンガポールで、トランプ―金正恩会談が行われました。
だから、今回も相次ぐミサイル発射実験によって脅威を与えることで、アメリカとの交渉を開始したいのでしょう。
北朝鮮の目的は、「核兵器を保有しつづけたまま、制裁解除、経済支援、体制保証を勝ち取ること」です。
日本は、どうするべきか?
日本は、慣れてしまったこと、選挙で忙しいなどの理由で、北のミサイル発射をほとんどスルーしています。
選挙後は、ミサイル発射があるたびに大騒ぎするべきです。そして、「敵基地攻撃能力」を獲得するべきです。
現状、日本は北からミサイルが飛んできたら、ミサイル防衛システムで撃ち落とす方針。しかし、現実問題、全てのミサイルを撃ち落とすことは不可能でしょう。
そして北朝鮮は、「日本にミサイルを何発撃っても反撃されない」と確信している。だから日本は、安心して攻撃することができる「サンドバッグ国家」です。
これでは困るので、ミサイル発射のたびに大騒ぎする。
「このままでは我が国の安全は守れない。やむを得ないので、敵基地攻撃能力獲得を目指します」と宣言し、実際に取り組むべきでしょう。
image by: 朝鮮労働党機関紙『労働新聞』公式サイト