組織変革の動機づけとは?
以下の図をご覧ください。
左は組織変革のプロセスを表した図ですが、これはMBA講座の最初の方でお話した戦略を一枚で表した図です。
この図はもちろん、組織変革にも当てはめることが可能です。
まず、目指す姿はなんなのか?
これこそが、ここまで説明してきたビジョンです。こうなりたいという、理想の未来像、これが目指すべき姿。
そして現在の姿、悩み。これと目指す姿を比較し、どうすればそこに近づくことができるか。これを順序立てて考えていく。
組織改革においてもそのステップは変わりません。
- 自分はどうなりたいか?どうなるべきか?(目指す姿)
- 自分には何がたりないのか?それはなぜか?(現在の姿)
- まず何から優先的にするとよいか?(そこに行きつく手段)
3つのどの要素が欠けても部下は自発的に動くことができず、組織の変革は遠のいてしまいます。
変革のための3つのフレームワーク
ここからは、人を動機づけ、変革に向かわせるために必要なフレームワークをご紹介します。
まずひとつめはゴールデンサークル理論。
以前、経営戦略の章でも説明したものですが、結論から言うと、人を動かすのは
WHY:なぜやるのか
という部分であり、ここから話し始めることで人を突き動かすエネルギーが生まれるということ。
Why(なぜやるのか)、How(どうやって)この2つは人々の感情に訴えかける部分であり、さらにその先のWhat(何をやるのか)は論理に訴えかける要素です。
Why→How→Whatと具体的になっていくその順番で話すことによって、聞き手側は共感しやすく、理解も深まります。
2つめが、マズローの5段階欲求。
こちらも有名な理論です。人には5段階の欲求があり、
1.生理的欲求
2.安全欲求
これらが物質的欲求。
そして次に、
3.社会的欲求
4.承認欲求
5.自己実現欲求
という精神的欲求が続きます。
人は、1.から5.の順番で欲求を満たそうとするというのがマズローの5段階欲求の考え方です。
これを組織改革、部下を動かすマネジメントの部分に当てはめて考えてみると、より上位の欲求を満たすための機会を与えることで部下の動機づけにつながると言えます。
お客さんを喜ばせたい、社会の役に立ちたい。
そのような自己実現欲求を育むことで、目標設定の目線が高くなり、部下の自発性は大きく変わっていくでしょう。
最後に、ハーズバーグの二要因論。
これはストレートに人がなにによってモチベートされるかを説いたもので、それは大きく分けて衛生要因と動機づけ要因の2つです。
衛生要因は、労働条件を始めとする周囲の環境や対人関係など、外部的な要素。
対する動機づけ要因は、達成感や決裁権、自己の成長など内部的な要素。
もちろんどっちも大事なのだが、先行指標は動機づけ要因であり、衛生要因ばかりをケアしても人のモチベーションは続かないというのが、ハーズバーグの主張です。
ですが、逆に動機づけ要因の方だけを意識していてもダメです。達成感があっても、それに相等する報酬がなければ仕事の満足感が得られません。
動機づけ要因を重視しつつ、両者のバランスをしっかり取っていくことが大事です。