なぜ「注文を間違える沖縄料理店」の店員は客や店主に叱られないのか

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店員さんが注文を間違えることで有名な料理店が愛知県にあります。しかし、注文を間違えられても怒るお客さんはいません。それはなぜなのでしょうか? 今回の無料メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』では繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさんが、そのお店の心温まるお話を紹介しています。

注文を間違える沖縄料理店は、今日も大繁盛!

愛知県岡崎市にある沖縄料理店は、別名「注文を間違える料理店」。

店員さんに料理名を告げても、メモに書き忘れたり、ビールを出す時、ストローをつけて出したり、お水を出すテーブルを忘れたりします。

しかし、お客さまは怒らず、何度も伝え、時には自ら動いて、お手伝いします。このお店のスタッフは、ほとんどが認知症の高齢者なのです。

17年間介護に携わってきた店主が「認知症の人が社会と繋がりながら、頑張ることのできる場所を作りたい」という願いから作ったお店です。

看板メニューは、「ソーキそば」「タコライス」「ゴーヤチャンプルー」などの沖縄料理。「頑張る」という意味の沖縄弁「ちばる」を用い、「ちばる食堂」と命名しました。

店主は、介護福祉士として認知症の人と接する時、いつもある思いが頭をよぎっていました。認知症の人は、自分がまわりに迷惑をかけたり、怒られたりすることがあるため、外に出ることを避け、引きこもりがちになることが多い。引きこもっていては、認知症は悪化する。

このことを社会や地域の人に知ってもらい、何か活躍できることはないかと考え、お店を始めたのです。認知症の人が働いているお店であることをあらかじめ告知し、理解した上で利用してもらうようにしました。

店主曰く、「いろんな間違いがあるけど、後で直せばいい。間違えることは気にしない」。

お客さまは優しく、怒ることもありません。間違っても、フォローしてくれます。お客さまが、働きやすい環境を作ってくれているのです。

また、口コミやネットの情報を見た人がやって来て、リピーターとなり、お客さまみんなでお店を支えています。

スタッフの報酬は、時給制の日払いとなっています。これは、働いたことを忘れないように、との配慮から。時給は、ハンデがあっても働きがいを感じる、充分な金額です。

店主は、スタッフの将来のことも考えています。もし働けなくなったとしても、通う場所があれば、引きこもらずに済むという思いから、デイサービスの事業所を作ったのです。

認知症の人は、人と関わることが大切です。

見たり、聞いたり、おしゃべりすることで、脳を刺激していれば、充実した人生を送ることができます。そんな場所を作るために、地域の人びとを巻き込み、社会として認知症の人たちを支えているのです。

こうした取り組みが、全国に広まることを望みます。

個人が汗水流すだけではなく、地方行政や政府がもっと積極的に動くべきです。それが、成熟した社会なのではないでしょうか。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント) 【発行周期】 週刊

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