中井 「私が経営でピンチに陥った時、もし『千房物語』が映画だったらどうだろうかと考えたことがあるんです。私が直面するピンチは、言ってみたら映画の一番おいしいところですよね。そこでドラマの主人公や脇役の人たちが悲愴な顔をして愚痴や文句ばかり言っていたら、そんな映画は面白くも何ともないじゃないですか。逆に能力があるなしにかかわらず、皆が一所懸命にやっているドラマは面白い。つまり大変な状況に直面したとしても『自分たちは人生の中で一番面白い局面にいるんや。もっとドラマチックにしよう』と考えを切り替えることが大事です。
私自身、そう頭を切り替えてから、責任が重いのと心が重いのは全く別だということに気づきました。責任は重くても心、つまり考え方は軽くなかったらいけません。その意味でも、試練に遭って軸がぶれることのない木村社長のお話には、大いに学ばなくてはいけないと思っています」
木村 「いや、僕はただ自分がやりたいことをやっているだけ。仕事が楽しいんです。志に向かって歩いていったら、いいことも起きるし、悪いことも起きますよ。そしてそれを楽しむ。それでいいのではありませんか」
中井 「志の強さが木村社長の自信の源泉なのでしょうね」
(本記事は月刊『致知』2015年6月号特集「一天地を開く」より一部を抜粋したものです)
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