京大教授が論破。消費税の「減税」が日本経済を救う当然すぎる理由

 

(5)消費増税のせいで、成長が止まった

このように消費税が増税されると、消費・投資が冷え込み、給料が下落するのですが、給料が下落するとそれがまた、消費・投資を冷え込ませる事になります。

そして、消費・投資が冷え込むとまた、給料が下がり、給料が下がるとさらに消費・投資が冷え込む……ということが繰り返される事になります。

これが世に言う「デフレスパイラル」なわけですが、その結果、日本の経済規模が全く成長出来なくなり、衰退していく事になります。

実際、こちらの「GDP」という日本人が使うオカネの総量、所得の総量が、1997年の5%への増税以降、成長出来なくなってしまったのです。

図 日本のGDP(名目)の推移

(6)しかし、世界中は普通に成長している。だから、日本だけが取り残された

このように、日本は消費増税のせいで成長できなくなったのですが、世界は、そんな日本の停滞・衰退を尻目に、成長し続けて行きました。

先程の図で日本の推移を紹介した(所得の合計値であり、使ったオカネの合計値である)「GDP」の、世界の推移を示したのがコチラです。

図 世界各国・地域のGDP(名目)の推移

ご覧の様に、日本は97年増税以降、停滞している中、中国、アメリカ、欧州、その他は、勢いよくGDPが拡大していったのです。

その結果、GDPで2010年に中国に追い抜かれてしまいました。さらに、一人あたりのGDPについては、この度、韓国に追い抜かれてしまいました。

つまり、日本は、かつて圧倒的な優位を保っていた中国や韓国に、消費増税で停滞してしまったことの帰結として、経済の視点から追い抜かれてしまったのです。

ただし……GDPといっても、一般の方には、なかなかイメージが湧きにくいかも知れませんので、「初任給」(年収)を比較してみたのが、こちらのグラフです。

図 初任給の比較

ご覧の様に、今日の初任給は、日本はわずか262万円です。この水準は、20年以上前のそれとほとんど変わっていません。しかし、その20年以上もの間、世界中は成長し続けていたのです。

その結果、アメリカやドイツなどの欧米諸国は500万円前後にまで上昇しており、スイスは800万円にまで上昇しています。

そして、韓国ですら、日本を上回る、300万円程度にまで上昇しているのです。

こうなってしまったのは、日本が停滞しているからで、そしてその停滞を導いたのが消費増税だったわけですから、日本が韓国や中国にすら経済で負けてしまう程にダメな国にさせたの張本人は「消費増税」だったわけです。(メルマガ『藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~』』2021年12月4号より一部抜粋・敬称略。この続きはご登録の上、お楽しみください)

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京都大学大学院・工学研究科・都市社会工学専攻教授、京都大学レジリエンス実践ユニット長。1968年生。京都大学卒業後、スウェーデンイエテボリ大学心理学科客員研究員,東京工業大学教授等を経て現職。2012年から2018年まで内閣官房参与。専門は、国土計画・経済政策等の公共政策論.文部科学大臣表彰、日本学術振興会賞等、受賞多数。著書「プライマリーバランス亡国論」「国土学」「凡庸という悪魔」「大衆社会の処方箋」等多数。テレビ、新聞、雑誌等で言論・執筆活動を展開。MXテレビ「東京ホンマもん教室」、朝日放送「正義のミカタ」、関西テレビ「報道ランナー」、KBS京都「藤井聡のあるがままラジオ」等のレギュラー解説者。2018年より表現者クライテリオン編集長。

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【著者】 藤井聡 【月額】 ¥880/月(税込) 【発行周期】 毎週 土曜日

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