新潟のドン「裏金2~3千万撒け」で露呈した自民党“金権選挙”のウラ実態

 

そんななかで、問題の日がやってきた。今年9月4日のことだ。泉田氏は星野県議に呼ばれて、その自宅を訪問した。

録音データには、星野氏と泉田氏の声がおさめられていた。星野氏は泉田氏を諭すように囁き続ける。

「それで泉田さん、勝とうさ、どう思うね」
「もしさ、比例でひっかからなかったら終わりだよ」
「とにかく必要経費を早くまこう。もう余裕がない。選挙が始まってからなんてバカはいない。今だ、今でも遅いくらい」
「2,000万や3,000万出すのにもったいながったら人生終わるよ」

2,000~3,000万円をばらまけば、選挙に勝てると言っているように聞こえる。

泉田氏が「だからあの違法行為にならないようにしないといけないので」と拒否反応を示すと、こう言った。

「そんなものはね、いいですか、はっきり言うよ。言葉の問題だけであって実際はそんなもの気にしている候補者なんか1人もいないからね」

選挙に勝つためなら候補者は法律違反など気にしてはいけないと説く。いったい誰にカネを撒けというのだろうか。

泉田氏は「先生、ちゃんと寄付できるときに言ってくれればいいのに、どうしたらいいんですかね」とため息をついた。選挙間近で寄付したら公職選挙法にひっかかる恐れがある。

泉田氏はそれまでに長岡支部には200万円を寄付しているという。一方、星野氏は「泉田氏から1銭ももらっていない」と主張している。

泉田氏が立候補した衆院新潟5区には長岡市、小千谷市、魚沼市などが含まれる。むろん、その地域の県議、市議がしっかり動いてくれなければ当選は覚束ない。泉田氏はそのための必要経費として200万円を振り込んだが、どうやら星野氏の言う必要経費はそれとは違う種類のカネのようである。

星野氏 「だからさ、この話はもう早く言えば秘書の耳にも入れてはならない。あんた1人の腹、だーれにも言っちゃならないこれは、この話は」

泉田氏 「でもまかないとだめなんでしょ」

星野氏 「まくというのは、ばらまくんじゃねぇちゅうて。実力者、地区地区の(個人名)」「信用できる人に、あれしてもらえば。必要経費ということでね、領収書もらっておいてください」

秘書にさえ言ってはならないカネを地区の実力者に配れと言う。これを泉田氏は「裏金」と言って拒否したが、星野氏は「必要経費で、政治活動費。表の金だ」と強弁する。星野氏の言い分に納得できる人がいるだろうか。

星野氏の言う通り「必要経費」だとしても、なぜそれほどの金額がかかるのか、誰がそれを必要としているのか、大いに疑問だ。

これについて星野氏はこう説明している。「演説会や集会の会場費、郵便局に払う切手代、何かを印刷した時の印刷代などの活動費。これを各支部に払うのが当たり前で、うちの長岡支部は1円も受け取っていない。市議団から役員全員に確認したけども1,000円札1枚も受け取っていない」。

それなら別段、秘書に内緒にして腹におさめておく必要などないはずだ。

新潟5区の当選者、米山隆一氏はかつて自民党公認で衆院選に出馬したことがある。当時、米山氏は自民党新潟5区支部長で、その頃も星野氏が長岡支部長だった。つまり今の泉田氏が置かれた立場と同じだ。その米山氏は「5区支部、長岡支部に党本部から振り込まれる資金は全て星野氏が握っていた」と言い、次のように指摘した。

「直前に2~3,000万円出せと言われたら、合法的に使うのは極めて困難な金額だ」。

つまり、買収資金としか考えられないということだろう。

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