親の言葉遣いが子どもの思考形態を決める
人間は自己イメージにしたがって自分を作り上げていく。これは建物と一緒で、基本的に設計図にしたがって、建物が建つのだ。
自己イメージとは言葉である。自分はこんな人間だというイメージが肯定的であれば、「できる」「がんばる」という気持ちになるが、「ダメな人間だ」と思っていると、次第にダメになっていく。これは必然的といっていい。
この自己イメージを形成する上で、親の言葉や接する態度がとても影響を与える。いつも親がマイナスイメージや人格否定的なものの言い方をしていれば、子どもが否定的な思考形態になっていくことはまぬがれない。
かつて、わたしが受け持った小学1年生の女の子はわたしも驚くほどプラスイメージの言い方ができる子だった。
給食のときには「このホウレンソウ、すごくおいしいね」と言い、授業中の友だちの発表に対しては「いまのお話し、すごくよかった」と褒め、友だちの描いた絵を見ると「きれいだね」と話しかけ、昼休みから教室に戻ってくると「先生、ドッヂボールがすごく楽しかったよ」とニコニコ報告してくれた。
当然ながら、彼女はクラスの人気者で、だんだんほかの子も彼女の言い方を真似するようになった。クラス全体に彼女がとてもいい影響を与えてくれたのだ。
彼女のお父さんもお母さんも同じようにプラスイメージの言い方をする人たちで、お父さんはお母さんの作った食事を「おいしいね」といつも褒め、お母さんもお父さんが仕事から帰ってくると「暑い中、お疲れさまでした」とねぎらう。
そうした家庭だからこそ、子どもは何の努力もせず、自然にプラスイメージの言い方と、プラス思考を身につけたのだろう。
その子を思い出すにつけ、親の言葉遣いの影響の大きさを感じる。









