否定的な言い方は子どもを傷付ける
耳をふさぎたくなるような暴力的な言葉だけでなく、実は日ごろ、親たちが何気なく使っている言葉も子どもを傷付けている。親の言葉遣いは以下のように大きく四つに分類できる。
1.マイナスイメージの言い方
何か子どもに対して言うときに、「~しなくちゃダメでしょう」「また~していない」「なんで~できないの」などと否定的な言葉が入ると、子どもは自分がダメと言われたように感じる。
親は「片付けができていない」と物事についてただ話しているだけと思うが、特に小さい子は自分が否定されたように感じてしまう。
例えば、子どもが「片付けできたよ」と報告してきたときに、まず褒めてやらずいきなり「だけど、~がまだだよ」と答えてしまうと、子どもはせっかくやったのにまたダメかと思う。
2.人格否定
マイナスイメージの言い方よりもっと問題なのが「人格否定」を含めた言い方だ。例えば、「ダメなやつだな」「冷たい子ね」「だらしがないな」など、人格を丸ごと否定すると子どもを深く傷付ける。ときにはひと言が長く心に残り、トラウマになることさえある。
そこまで言わないまでも、「情けないな」とか「情けない子だな」、あるいは「がっかりだよ」も人格否定の言い方である。親は自分の気持ちを言っていると思うかもしれないが、子どもにとっては「親を悲しませる、がっかりさせるダメな子だ」と言っていることと同じだ。
3.プラスイメージの言い方
これに対して、肯定的な言い方は子どもにいい影響を与える。例えば、「~すると気持ちいいよ」「~するとうまくいくよ」と気持ちを前向きにさせる言葉を含めていう。「どうして片付けできないの」と叱るより、「片付けすると気持ちいいよ」という方が親の気持ちもよくなる。
そして、少ししか向上していなくても、場合によっては特に変化がなくても、褒めてやることが大切だ。
「片付けがうまくなったね」「うまくできたじゃないか」と、あたかも上達したように言うと、子どもは次第に自信を付ける。
何かが本当にできたり、上達したりしたら改めて褒めてやろうなどと思っていると、褒める機会がなくなってしまう。
仮に、いくら言っても片付けがうまくならない場合も、それは仕方のないことだ。整理整頓のヘタな子もおり、それは個性なので、思い切って目をつぶって、長所を見るようにしよう。できないことを責め立てて、自信を失わせることが一番いけない。
4.単純指示
とはいえ、プラスイメージだけで言うのは難しい場面もある。そのときは単純に指示する。
「~しなさい」「~すること」だけでいい。ついつい、余計に「~してないな」と付け加えたくなるが、ぐっとがまんして、「片付けなさい」だけでいい。