わたしを主語に「アイ・メッセージ」
わたしがプラスイメージの言い方の重要性を感じたのは、20歳のころに読んだ本がきっかけだ。その本のタイトルは忘れてしまったが、プラス思考の大切さを説いた啓発書だった。
言葉遣いがその人の思考形態に影響を与えることを知って、それ以来、「~はダメ」というような否定的な言い方をしないと心に決めた。
言葉に出す前に、プラスイメージに翻訳してからしゃべるようにしていたら、いつの間にか自然にできるようになり、プラス思考の考え方になってしまった。
これは誰でもできることだ。否定的な言葉を相手に対してしゃべらないことを心がけると同時に、マイナスイメージの言い方を避けるうまい方法がある。
それが、「アイ・メッセージ」である。アイ・メッセージとはアイ(わたし)を主語にして相手に伝える話し方である。これに対して、ユー(あなた)を主語にする話し方を「ユー・メッセージ」という。
例えば、子どもが約束の時間に帰ってこなかったとき、ユー・メッセージでは「また(お前は)こんなに遅く帰ってきたの」と子どもを責める言い方になる。ところが、これをアイ・メッセージで伝えると「早く帰ってこないと(お母さんは)心配だわ」と非難の要素が消えて、自分の気持ちを伝えることになる。
兄弟げんかを止めるときも、「また(お前たち)はケンカしているのか」ではなく、「兄弟仲良くしていると(お父さんは)うれしいな」となる。
大人でも相手に非難されたら、心を閉ざして素直に話を聞かなくなる。理屈では相手の言い分が正しいと思っても、気持ちの上では拒絶してしまう。
しかし、素直に相手から気持ちを伝えられると、自然にその気持ちに共感するようになる。特に子どもたちにおいてそうした傾向が強い。