中国人が「日本を見習って欲しい」とまで呆れる“最弱のスポーツ”とは

 

最大の欠点は、スポーツを政府が一元的に管理していること。中国の市場経済が盛んである現在、サッカーなどのスポーツは依然として政府によって管理されており、サッカーも中国経済と同様に、体育委員会とサッカー協会が権力と金の両方を持つ二重システムになっていて、腐敗の温床となっている。

過去数十年間、中国政府はスポーツ界のエリートを育成し、資金、トレーニング環境などを提供し、主にオリンピックで金メダルを獲得し、共産党政治体制の勝利と成功をアピールする。

この方針は、サッカーの発展に影を落としている。サッカークラブは当局によって管理されており、その結果、地域の独立したサッカークラブは発展できない。

中国政府は、このような小さなサッカークラブが都市で何千と生まれ、「ボトムアップ」の社会運動として広がり、政府の支配に挑戦することを恐れているかもしれない。サッカークラブは、都市と農村の家族や隣人を集め、政府や体育委員会の官僚よりも、クラブに対して忠実になる可能性があるからである。

中国のサッカーが強くなれないもう一つの理由は、一般的に中国の親はスポーツを重視せず、子供に勉強をしっかりさせたいと考えているからだ。

週6日学校と塾に通い、朝6時に起床し、夜10時まで勉強する子供が大勢いる。子供がサッカーを好きになっても、サッカーをする余裕がない。

サッカーと民主主義の関連性は、中国サッカーの課題であるかも知れない。

現在中国では、サッカーをする人、支える人の視野の広がりが無く、個人的に優れた選手がたまたま集まったとしても、それを継続して積み上げていく基盤がなさそうだ。

サッカーという競技は民主的な自立した社会の存在が強いチームを生む大きな要素であるかも知れない。

トップアスリートの育成と強化だけを考える中国的なスポーツの取り組みでは、サッカーのような「チームとしての熟成」が求められる競技で成功することは難しい。

60-70年代まで日本サッカーもインドや香港やベトナムに負けていた。70年代から小学生・少年のサッカー普及に力を入れ、サッカーの視野を拡げる努力を続けてきた結果、継続的に強いチームが組めるようになった。

サッカーについて、中国は日本に学ぶべきだと思う。

とりあえず、しっかり、サッカーの基礎を築いてほしい。中国サッカーが民主化の先頭に立つことを期待せざるを得ない。

中国サッカーが強くなる日、中国が本当の大国になる日であるかもしれない。その日は、いつ来るだろうか。

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在日中国人作家。日中の大学でマスコミを専攻し、両国のマスコミに従事。十数年間マスコミの現場を経験した後、2009年から留学生教育に携わる仕事に従事。2015年日本のある学校法人の理事に就任。現在、教育・社会・文化領域の課題を中心に、関連のコラムを執筆中。2000年の来日以降、中国語と日本語の言語で執筆すること及び両国の「真実」を相手国に伝えることを模索している。

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