「日本復活」へ揃ってきた好条件。期待できる分野と取るべき施策は?

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ウクライナ情勢が緊迫度を増したことで、原油価格の高騰や株価の下落など、世界経済には暗雲が立ち込めています。しかし、現在の状況を日本復活の条件が揃ってきたと捉えるのは、日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さんです。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』では、揃ってきたとする条件を具体的に上げ、どこにどう投資していくべきか示唆。政府は、LNG融通と引き換えに鉄鋼関税の一部免除を引き出したように、中韓のような企業支援策を認めさせる好機だと訴えています。

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日本の復活の条件

民主国と専制国の対立が明確化している。その状況は、日本復活に良い条件を揃えることになりそうだ。

日本の復活には、日本を代表する大企業のイノベーションと国際化と円安しかない。米国の真似をして、ベンチャー投資をしたが、ほとんど実らないし、この株価下げで、ベンチャー投資をした個人は大損をしている。米利上げで日本のマザーズ株などは大きく下げているし、大きな成長もしていないのが、日本のベンチャー企業である。

今後の投資は、メタバースなど巨額な投資が必要になり、大企業しか対応できない。それとIT技術から、センサーや電子部品、機能部品などを合わせたロボット技術が必要になる。この技術は既存技術の延長上にあるので、日本企業の得意とする分野である。

もう1つが、基幹産業の復活がある。株価も上昇している。この基幹産業の復活は、冷戦体制になり、中国から自国に生産拠点を移す動きが、米国や欧州、インドなどで加速しているからだ。この潮流に日本企業は、日本での生産を縮小して、世界に生産拠点を増やし、消費の落ちる日本から世界の消費に乗り換える動きと合致したのである。

日本製鉄やJFEなどはインドや米国に新高炉を作り、生産量を増やしている。非鉄金属需要もEVの車体生産には必要になり、好調である。商社も資源価格の高騰で復活している。これも冷戦で需給関係が変化して、その変化を捉えているからである。

一方、花王やライオンなど国内消費に対応して成長してきた企業の企業業績は落ちている。それは国内消費が人口減少などで減っているからだ。海外に工場はあるが、安い製品を作り、日本への輸出拠点でしかないからである。国内消費に対応した大企業も今後、海外での売り上げを増やさないと復活できない。そのためには海外企業の買収を積極的にしないといけなくなる。短期に海外市場を取るのは買収しかない。

このように世界の構造変化が起きている。この動きを促進し、有利にするためには、革新的な技術の開発が重要になる。特に半導体製造技術や電子技術、電池技術である。この分野は、企業群と国が協力して、研究開発することである。研究組合を作り、そこに補助金を付けるか、または、NTTなどの企業研究所を有効に利用するしかない。その研究組合の場合は、大企業にならざるを得ない。NTTやトヨタやキャノンやソニー、パナソニックなどであろう。

それと、今後の冷戦構造を見越して、軍事技術開発も日本独自に行う必要がある。米国の技術衰退で日本が中心にならざるを得ないからだ。こちらも、IHIや三菱重工などと研究開発契約を結び、行うことである。

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