そこで、私は、「日本が負けた理由」について考えつづけています。日本が負けた理由は、いろいろあります。たとえば、
・日ロ戦争の後、満州利権を独占し、アメリカを敵にまわしたこと
・第一次大戦時、日本がイギリスの「陸軍派兵要求」を無視したこと。それが原因で、日英同盟を破棄されたこと。これでイギリス、アメリカが、反日に転じた
・満州国について、昭和天皇は「リットン調査団」の勧告
をそのまま受け入れるつもりだったが、側近の反対で、国
際連盟脱退にむかったこと。
・そもそも、国際連盟を脱退する必要はなかったが、脱退したこと
・1941年アメリカは、対日石油禁輸に踏み切ったが、日本が真珠湾攻撃をする必要はなかった。直で、インドネシアなど東南アジアの石油を確保していれば、アメリカは対日開戦の口実を見つけることができなかった
などなど。いろいろいろいろあります。最近も、一つ興味深い事実を知りました。
日本軍が中国で負けたのは〇〇がなかったから
最近、『経済と安全保障』という本を読みました。
田村先生は、産経新聞特別記者ですが、経済の専門家です。私は長いこと田村先生の記事に注目していますが、「いつも正しいことを主張しておられる」と感じています。安倍元総理も、田村先生のいう通りにしていたときはうまくいき、先生のいうことを無視するようになったらうまくいかなくなった。渡部先生は、元陸将。つまり安全保障の専門家ですね。この二人の大物が、「経済と安全保障」について対談している、とても面白い本です。
この本の中で、田村先生が、「日本が中国との戦争に負けた理由」について、とても興味深いお話をされています。それは、「〇〇がなかったから」だと。なんでしょうか?すこし考え、紙に答えを書いてみてください。書きましたか?
答えは、「お金」がなかったからです。といっても、今あなたがイメージしたお金とはおそらく違います。すこし田村先生の言葉を引用してみましょう。
問題は、なぜ日本軍が中国大陸で優位に立てず、泥沼のなかに入っていってしまったのかです。その大きな原因が、中国大陸で日本の「円」が通用しなかったことにあります。
(52p)
いわれてみれば、当然のような気もしますが。なぜ、それが問題なのでしょうか?
他国を占領すると派遣している兵士を養っていくためにも現地で物資を調達する必要がありますが、それには、お金が必要になります。日本軍は軍が発行する「軍票」を貨幣の代わりに使えるようにしようとするのですが、これが、うまくいかない。
(同前)
なんとなくわかります。外国の軍隊が来て、「これお金の代わり。よろしくね」といわれても、「こんな紙切れ、信用できるか!」となりそうです。