年金の受給額が減り続ける?なぜ給付額は毎年変動してしまうのか

 

さて、みんな共通部分として受ける年金となった国民年金でしたが、一体いくらの年金にしようかという議論があったわけです。

その時、基礎年金年額60万円(月額5万円)にする事が決まりました。5人世帯の共通経費を除いた受給者本人の生活費が大体5万円だったから、そのラインが出てきたわけです。

昭和60年の額を60万円として、それからは物価や賃金等の伸びに影響を受けながら毎年年金額は変動していきました。法改正しなくても物価にスライドして毎年年金額は変わる。

年額が満額60万円だった当時の国民年金は、15年後の平成12年までに804,200円まで上がりました。

ところがそれ以降は物価が下落し続け、平成16年時には780,900円まで下がりました。昭和60年の金額からそのようにずっと変化してきたわけですが、一旦平成16年時の780,900円をターニングポイントとして整理しようとなりました。

一旦、平成16年時の年金額780,900円をベースとなる水準として、この水準からまた物価や賃金の伸びで変更させていこうと。

平成16年から18年後の令和4年度までにいろいろ年金額は変化はしてきましたが、経済の停滞が長く続いてるので平成16年時にベースとなった年金額780,900円付近をウロウロしています。

令和4年度は前年度に比べて0.4%下がったから、777,800円になりました。

平成10年頃までは当初60万円だったのが80万円まで上がる勢いだったのに、ほとんど年金額が変わらないものとなっていますね…。

年金制度の構造の問題ではなく経済が良くならないと年金もなかなか上がらないのであります。

年金を抜本改革しろ!ではなく、根本的に国の景気が良くなる事が大切と言えます。

* 厚生年金額の変動の仕方と、平成16年大改正時の年金改定のルールについては3月の有料メルマガであらためて解説します。3月16日予定の有料メルマガ第233号は、「(重要!)年金の下落と、年金額変動の仕組み」。

※ 追記
平成11年~平成13年まで全部で2.9%物価が下落し続けたにもかかわらず、年金額を引き下げなかったために年金を必要以上に支払い続けていました。

この辺の事は以前何回か説明したので、今回はややこしい部分は省いて単純に国民年金の金額の変化の経緯を説明しています。

【過去参考記事】
有料メルマガ第119号 国民年金が今の金額になるまでの移り変わりと、必ず知っておきたいその金額を決めた理由
有料メルマガ第178号 本当なら令和3年度年金額は下がらないはずだったのになぜ0.1%下げたのか(その他重要事項)

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年金アドバイザーhirokiこの著者の記事一覧

佐賀県出身。1979年生まれ。佐賀大学経済学部卒業。民間企業に勤務しながら、2009年社会保険労務士試験合格。
その翌年に民間企業を退職してから年金相談の現場にて年金相談員を経て統括者を務め、相談員の指導教育に携わってきました。
年金は国民全員に直結するテーマにもかかわらず、とても難解でわかりにくい制度のためその内容や仕組みを一般の方々が学ぶ機会や知る機会がなかなかありません。
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