ロシアの行動を見て「日本が第2のウクライナになる」と危機感を持つことは理解できる。しかし、中途半端な武装でそれが防げると考えるのは単純過ぎる。それよりも賢くあることこそ肝要なのだ。
かつて米中二つの核大国と戦火を交えたベトナムは、二つの戦いで「勝利」した。なぜ、小国が大国を退けられたのか。その理由は少なくとも二つ指摘できる。
一つは大国と戦争をしながら決して相手を本気にさせなかったベトナムの知恵だ。表で戦いながらも裏側では外交を駆使した狡さと言い換えても良い。
さらにもう一つは民の熱狂から距離を置いていたことだ。ベトナム戦争が激化しても、ベトナム共産党は徹底して国民が反米感情を抱くことを抑制した。感情的な対立を背景に戦えば恐怖心が戦争を悪化させてしまう。また、戦争を終結する絶好のタイミングが到来しても、国民感情が和解を許さなければ、行き着くところまで戦争は止められない。
大国と向き合うのに「武装」しか唱えられないのは、その時点で自らに知恵がないことを露呈しているに等しいのだ。
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