知恵の無さ露呈。ウクライナ危機に乗じ憲法改正を吹聴する人が信用できぬ訳

 

ロシアの行動を見て「日本が第2のウクライナになる」と危機感を持つことは理解できる。しかし、中途半端な武装でそれが防げると考えるのは単純過ぎる。それよりも賢くあることこそ肝要なのだ。

かつて米中二つの核大国と戦火を交えたベトナムは、二つの戦いで「勝利」した。なぜ、小国が大国を退けられたのか。その理由は少なくとも二つ指摘できる。

一つは大国と戦争をしながら決して相手を本気にさせなかったベトナムの知恵だ。表で戦いながらも裏側では外交を駆使した狡さと言い換えても良い。

さらにもう一つは民の熱狂から距離を置いていたことだ。ベトナム戦争が激化しても、ベトナム共産党は徹底して国民が反米感情を抱くことを抑制した。感情的な対立を背景に戦えば恐怖心が戦争を悪化させてしまう。また、戦争を終結する絶好のタイミングが到来しても、国民感情が和解を許さなければ、行き着くところまで戦争は止められない。

大国と向き合うのに「武装」しか唱えられないのは、その時点で自らに知恵がないことを露呈しているに等しいのだ。

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image by: Mykola Tys / Shutterstock.com

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1964年、愛知県生まれ。拓殖大学海外事情研究所教授。ジャーナリスト。北京大学中文系中退。『週刊ポスト』、『週刊文春』記者を経て独立。1994年、第一回21世紀国際ノンフィクション大賞(現在の小学館ノンフィクション大賞)優秀作を「龍の『伝人』たち」で受賞。著書には「中国の地下経済」「中国人民解放軍の内幕」(ともに文春新書)、「中国マネーの正体」(PHPビジネス新書)、「習近平と中国の終焉」(角川SSC新書)、「間違いだらけの対中国戦略」(新人物往来社)、「中国という大難」(新潮文庫)、「中国の論点」(角川Oneテーマ21)、「トランプVS習近平」(角川書店)、「中国がいつまでたっても崩壊しない7つの理由」や「反中亡国論」(ビジネス社)がある。

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