大臣どころか総理の椅子も。自民に擦り寄る国民民主・玉木代表の野望

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先日行われた衆院本会議で、野党でありながら政府予算案に賛成するという異例の対応を見せた国民民主党。同党を巡っては昨年にも「自公政権入り」が囁かれましたが、玉木雄一郎代表の真意はどこにあるのでしょうか。今回のメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』では米国在住作家の冷泉彰彦さんが、国民民主党の狙いと、玉木代表の壮大とも言うべき野望を推測。さらに彼を取り巻く「複雑な方程式」を解説しています。

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※本記事は有料メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』2022年3月1日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

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与党入りだけではない? 国民民主玉木代表の野望

国民民主党の玉木雄一郎代表の発言が目立っています。例えば、2月27日にはガソリンの急騰対策として一時的に揮発油税を軽減する「トリガー条項」の凍結解除を政府に求めたそうです。これは純粋ポピュリズムですが、反射神経の良さをアピールしたいということでもあるのでしょう。

反射神経ということでは、ウクライナ情勢に対して西側が行った経済制裁に関して、日本がすぐに同調しなかったことについても、岸田政権の対応を「遅い」と批判するなど軍事外交面でもアピールをしています。

極め付けは予算への賛成です。2月21日に衆院予算委員会で採決された、22年度予算案については、自民・公明の与党と、国民民主党による賛成多数で可決されました。予算案は行政府の政策の柱ですから、それに野党が賛成するのはきわめて異例です。

こうした動きの背景には、与党入りを狙っているなどの声がありますが、これは「まんざらフィクションでもない」と思います。

まず直近の政治日程としてあるのは、7月の参院選です。現在の国民民主党は参議院に12議席を有していますが、このうち7議席が改選になります。ということは、まず国民民主としては今回の選挙は正念場であり、党勢を維持して拡大するためには非常に重要な選挙になります。ただ、改選議員の知名度ということでは、それほどではないので、とにかく党としての集票に必死ということが言えます。

一方で、もう少し先まで考えてみると、国民民主という政党には「与党入り」するチャンスがないわけではありません。あるとしたら、次の2つのパターンです。

  1. 総選挙で自民党が大敗し、自民公明だけでは過半数に達しない場合に、重要なキャスティングボードを握った格好で連立政権の与党入り。
  2. 仮に憲法問題などで公明が与党を離脱した場合、国民民主だけで必要な数を満たす場合は、率先して与党入り。

もちろん、この両者のパターンにおいても、自民党が維新と組む可能性はありそうです。ですが、全国区と一部はうまく行っている東京ではいいのですが、大阪では維新と自民は支持基盤も含めて超ライバル関係にあるわけです。大阪ではお互いを敵として必要とする関係と言ってもいいでしょう。

ということになると、自民党が維新と連立するのは非常に難しいわけです。その場合に、中道政党として連立に入れば、大臣のイスが自動的に転がり込んで来るし、数名の議員は副大臣や政務官になれるかもしれません。国民民主はこれを狙っているわけです。

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