マスメディアが創ったウクライナ侵攻の「物語」に乗せられる世界の人々

Flag of Russia on military uniform and flag of the Ukraine at background. Russia VS Ukraine.
 

2014年にクリミア半島の人々(9割がロシア系)が「独立」を宣言し、ロシアへの併合を望んだ背景には、クーデター(西側では「オレンジ革命」などという美名で誤魔化していますが実体は武力による政権転覆です)で成立した「民主的な」ウクライナ政府による迫害がありました。

さらに酷いことには、ロシア系住民が多く住む東部のドネツク州やルガンスク州では、ウクライナ軍やネオナチの傭兵がロシア人への虐殺を開始しました。彼らに武器や資金を提供したのは、CIAの下部機関や米国の金融資本家です。

ロシア人の住む家屋が砲撃され、焼け出された避難民はスナイパーにより容赦なく撃ち殺されたのです。こうした事態に、ロシア人の側も民兵を組織し、戦闘が始まりました。

混乱する戦闘状態を収拾するために、ロシアを含めた当事者が集まり、上記2州に一定の自治権を認め、戦闘行為を停止するという「ミンスク合意」が結ばれました。

しかし、その後も、ウクライナの「民主的政府」はネオナチの傭兵を野放しにし、彼らが親露派の住民を襲うことを黙認して来ました。

プーチン大統領を眼の敵にする欧米の金融資本家(ソ連崩壊後のロシアにハイエナのように群がり利権を欲しいままにしていたのをプーチンたちに追い出されてしまった)は、ネオナチ民兵に資金援助を続けていましたから、彼らの暗躍は止まらなかったのです。

そして、親ロシア派の民兵がそれに反撃すると、これを停戦違反だとして、今度はウクライナの正規軍が攻撃を加えるといった泥仕合が8年間続き、およそ1万5000人の命が奪われました。

最近、ウクライナ側は、トルコから最新型のドローン兵器を購入し、親露派自治区の住民の殺害を始めました。これは西側のニュースでも流れていました。こうしたことを誰も止められなかったのです。

つまり、戦争は今始まったことではないのです。ウクライナの東部では、ずっと戦争が続き、人が死んでいたのです。

ロシア軍やプーチン大統領の側にしてみれば、「こうした戦争状態を一日も早く終わらせたい」という思いが侵攻の動機になっています。彼らもまた主観的には「同胞を助けるための正義の戦い」を遂行しているわけです。

実際、今回もロシア軍は真っ先に東部地区に侵攻しました。欧米や日本のメディアは首都キエフを巡る攻防ばかりを報道していますが、東部地区に入ったロシア軍は、瞬く間にこの地域を制圧し、ウクライナ政府軍は短期間の戦闘の後に投降しています。この地域のロシア系住民は、拍手と花束でロシア兵を迎えたのです。

だからといって、目的が正しければ「手段」までもが正当化されるわけではありません。プーチン大統領は、今回の侵攻を「他に手段が無かった」からだと正当化していますが、果たしてそれが本当か否かは、今後の情勢の展開次第で決まると思います。

要は、この侵攻が泥沼化して、戦争が拡大し、犠牲者が増大して、場合によっては第三次世界大戦の引き金となるのか、それとも、ウクライナ政府との間で停戦合意が成立し、懸案の課題解決を外交交渉の場に移すのか、という問題です。

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