18歳でアダルトビデオ出演は「成人」扱いに。政府が閣議決定で物議、AV強要でも“未成年取消権”4月から認めず

2022.03.07
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by gyouza(まぐまぐ編集部)
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2022年4月1日より、民法の改正によって「大人」の定義が変わる。成人を示す「成年年齢」が、今までの20歳から18歳に引き下げられるためだ。明治8年の太政官国布で定められて以来140年ぶりの「成年年齢」改正だが、いったい何が変わるのだろうか?

18歳でもできるようになること、変わることの主な内容は、たとえば以下の通りである。

  • 10年有効のパスポートを取得できる。
  • 公認会計士や司法書士、医師免許、薬剤師免許などの国家資格を取ることができる。
  • 結婚可能年齢が男女とも18歳からに(女性は今までの16歳から引き上げに)なる。
  • 親の同意がなくても契約をすることができる。

この中でもネット上で話題となっているのが「契約」の部分。今回の民法改正により、AV(アダルトビデオ)の出演契約者が18歳・19歳だとしても「成人」として扱う、と政府が閣議決定した答弁書に書かれていることだ。つまり、18歳・19歳は「未成年者取消権」が使えなくなることを意味している。

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この「未成年者取消権」とは何か。これは、未成年者が法定代理人(親権者。親権者がいない場合は未成年後見人)の同意を得ずに契約した場合には、原則として、その契約を取り消すことができるということが民法によって定められているというもの。つまり、18歳・19歳がアダルトビデオの出演を強要する契約を結ばされてしまった場合、この取消権を使うことができなくなってしまうのだ。

この答弁書は参議院の公式ホームページで読むことができる。この内容の質問主意書を提出したのは、立憲民主党の塩村あやか議員だ。

● 成年年齢引下げに伴い必要となるアダルトビデオ出演強要問題への対応に関する質問主意書(参議院)

塩村議員の質問主意書には以下のような質問が書かれている。

(前文略)十八歳、十九歳の者が締結するアダルトビデオへの出演契約等が未成年者取消権の対象から外れるため、今後、若年層の性暴力被害が増加することが深刻に懸念されるとの観点から、以下質問する。

 (中略)内閣府男女共同参画局発行の「共同参画」(令和三年九月号)では、いわゆるアダルトビデオ出演強要問題は、被害者の心身に深い傷を残しかねない重大な人権侵害であるとともに、女性活躍の前提となる安全で安心な暮らしの基盤を揺るがす問題であるとされている。

 アダルトビデオへの出演強要による被害に対して支援が必要となる者の年齢については、飲酒及び喫煙と同様に、民法の成年年齢等とは異なる観点から検討されるべきであり、引き続き二十歳未満の者が締結した契約を未成年者取消権の対象とする等の対応を講ずる必要があると考えるが、政府の見解を問う。(以下略)

つまり、今回の民法改正によって、成人の年齢引き下げがおこなわれたことによって、今までは20歳未満の人に対して有効だった「未成年者取消権」が行使できなくなるため、被害を受ける人が増えるのではないかという懸念が出てきたのだ。この質問に対して、政府が閣議決定した答弁書の内容は、以下のようなものだった。

同主意書に対する答弁書(参議院)

当該取消権を行使することができる者を成年となった十八歳、十九歳の者にまで拡張することは困難であるが、いわゆるアダルトビデオ出演契約を締結したとしても、不当な手段によって締結された契約については、詐欺、強迫等を理由とする取消権を行使することが可能である。

政府は答弁で、「成人」扱いとなった18歳・19歳にも「未成年者取消権」を拡張することは困難だ、と答弁している。その後には「不当な手段によって締結された契約は、詐欺や強迫等を理由として取消権を行使できる」と補足しているが、たとえ脅された側が取消権を行使できたとしても、契約をすることができる年齢層が広がったことで「被害者数」が増加する可能性が出てきたのだ。

アダルトビデオをめぐっては、以前より芸能事務所による出演の強要や製作者らによる性暴力、事前の説明なしに動画が配信されるなどの事案が問題視されており、18歳・19歳の被害拡大が懸念される。今回の「18歳・19歳のAV出演契約が成人扱い」について、ネット上にはさまざまな意見が投稿されている。

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