プーチンに忖度か。“宗男の娘”が「ウクライナ大使の外相面会要請」を放置した裏

 

イルクーツク会談では、忘れてはならないもう一人の同行者がいた。当時の官房副長官、安倍晋三氏だ。彼もまたプーチンの魅力にひかれたのであろう。第一次政権を含め首相として27回もの会談を重ねている。

プーチン氏が安倍氏の心をがっちりつかんだのが、2013年9月10日夕のサプライズではなかっただろうか。ブエノスアイレスのIOC総会で東京オリンピックの開催が決まって2日後、プーチン大統領からかかってきたお祝い電話。

「早速にお祝いの電話を頂き…」とお礼を述べる安倍氏に、プーチン氏は巧みなお世辞を用意していた。「安倍首相を国際社会が信頼している証ですよ」

2014年には、ソチオリンピック開会式にオバマ大統領ら欧米主要国の首脳が人権問題を理由に欠席するなか、安倍首相だけは律儀に出席した。

2019年、極東ウラジオストクで開催されたロシア主催の「東方経済フォーラム」で、安倍首相が「ウラジーミル、君と僕は同じ未来を見ている。ゴールまで駆け抜けよう、ロシアの若人のために、日本の未来を担う人々のために」と呼びかけたスピーチは、プーチン大統領との親密ぶりをアピールしたものとはいえ、史上最高のくさいセリフだった。

安倍氏らがこれまで、北方領土交渉を進展させるために尽力してきたことには敬意を表したい。だが、北方領土をエサに経済的利益を得たいだけのプーチン氏に手玉に取られ、翻弄されてきた側面があるのも事実だ。

安倍氏に対して、ウクライナ侵略をやめるようプーチン氏を説得してほしいとの声が上がっているようだが、それができる力量があるのなら、27回も会談して北方領土問題に解決の糸口さえ見つけられないのはおかしいではないか。

安倍氏は鈴木氏と2015年末に官邸で会談して以来、対ロ外交について鈴木氏の助言を求め、“親プーチン”の姿勢をとり続けた。駐日ウクライナ大使に対する鈴木貴子外務副大臣の当初の冷淡な対応は、このような経過の延長線上で捉えなければ、理解できない。

コルスンスキー大使は3月2日に林外相、同4日に鈴木外務副大臣と会い、ツイッターに「鈴木貴子外務副大臣とお会いする機会があり、喜びを感じている」などと投稿した。だが、これで面会放置問題はおさまったとしても、鈴木貴子氏が外務副大臣としてふさわしいのかどうか、という問題は残っている。

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image by: 鈴木宗男 - Home | Facebook

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