そして、あくまで僕の個人的主観で間違っているすっとんきょうな意見かもしれませんが、もうひとつ。
普段、感情表現が苦手な日本人は、どこかであんな大舞台で率直な感情を大観衆の前で露出させた大物俳優に対して、ある種の「憧れ」に近い感覚を持ったのではないか。
もっと言うなら、不自由さを常に感じている国民から見た時、自由さ、みたいな(あくまで間違った「自由」ではあるけれど)、人間らしさ、みたいなものを感じてしまったのではないかとも思うのです。なんなら「カッコいい」と。
対する、人前で感情表現をすることが普通のアメリカ人は、逆に「カッコ悪い」と思った。あれだけの大物スターが自分の感情すらコントロールできないのって、ダサいよねと。
とはいえ、在米21年の僕も、どこまで行っても日本人であり、やっぱり「その瞬間」はウィルを責める気にはなれませんでした。多くのアメリカ人の意見を聞いて、やっと自分が間違えていることに気がついた、というのが正直なところです。
そんな僕でも、その時でさえ、司会者クリス・ロックの平手打ちされた後の対応にはシビれました。見事でした。何事もなかったように進行して、その場をまとめました。もちろん品のないジョークを許せないという人もいます。
でも、式典でセレブをイヂるのはこの国の文化であり、あそこまでのプロフェッショナルさを見せつけられると、そんなジョークを言う資格すらあるのではないかなと思ったのでした。
マンハッタンの最前線からニューヨークの今がわかるメルマガ詳細はコチラ
image by: BAKOUNINE / Shutterstock.com