「虐殺はフェイクニュース」というプーチン露の主張に同調する中国の“腹の内”

 

戦後、マッカーサーの第1号命令で中国国民党軍が台湾を軍事占領し、20万の日本軍と40万人の民間人を台湾から追放し、50年間蓄えてきた個人資産までをも国民党は戦利品として接収しました。そして台湾には200万人もの中国人が流入してきたのです。

当初は台湾人のなかにも、「祖国」である中国の軍隊がやってくるということで、期待している人も少なくありませんでした。国民党政府は「台湾光復」を謳い、解放軍としてやってきたのです。

ところがその国民党軍の兵士に接した台湾人は、そのみすぼらしく規律のとれていない様子や、平気で嘘をつき、略奪し、賄賂を要求する姿に、かつての軍規正しく整然としていた日本兵とのあまりの違いを感じて大いに幻滅してしまいました。

そして、「犬が去って豚が来る」という言葉が台湾人の間で囁かれました。犬はうるさいけれど規律と秩序を守るし役に立つ、しかし豚は汚くて役に立たない、という意味が込められていました。

1948年2月27日、台北で闇タバコを売っていた女性から警官が売上金を没収、さらにその女性を警官が殴りつけたことをきっかけに、それまで国民党政府の腐敗や、搾取、虐待などに絶えきれなくなった台湾人の不満が爆発し、翌28日から大規模な抗議デモが発生、それは台湾全土に広がったのです。

これに対して、まだ中国本土で国共内戦を戦っていた蒋介石は鎮圧部隊を送り、徹底的な弾圧を加えました。この国民党政府の弾圧は白色テロとよばれ、これによる死者は2万~3万人、あるいは10万人ともいわれていますが、ともかく膨大な台湾人が虐殺、処刑されたのです。

台湾の場合には、国民党軍と戦ったわけではありません。日本が敗戦したあとに中国人が入ってきただけです。しかしそれでもこのような文化摩擦から虐殺が起こったのです。そして中国共産党も、チベットやウイグル、南モンゴルについて、「解放」を名目にしながら侵略し、多くの虐殺を行ってきたことは歴史の事実です。

ウクライナも、ロシアとウクライナは兄弟国と言われてきました。そもそもウクライナはキエフ公国が興った地です。ロシアはキエフ公国を継承したことを自認しており、だからウクライナとは兄弟国だとしているのです。もっとも、ウクライナ人からすると自分が兄で、ロシア人は弟だという意識でしょうが。

それでもウクライナはロシアの侵攻に徹底抗戦し、またロシアもウクライナ人を多数虐殺しているのです。

こうした虐殺の事実が判明して都合が悪いのは中国です。「台湾同胞」などと言っていますが、いざ台湾に侵攻すれば台湾人を虐殺することは目に見えています。しかし、あくまで「平和統一」「台湾解放」だと主張する中国としては、兄弟国ですら虐殺が起こっていることは「不都合な真実」なのです。

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