やはりロシア軍の所業か。酷似するブチャ虐殺とカティンの森事件

2022.04.07
by kousei_saho
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ウクライナのゼレンスキー大統領が国連安保理で「第2次大戦以降、最も恐ろしい戦争犯罪」と訴えた、ロシア軍による民間人大量虐殺。そのロシア兵は第2次大戦のさなかにも、歴史に残る蛮行を働いていました。今回のメルマガ『パリ大学博士・世川祐多のフランスよもやま話』では歴史学者で日仏交流に情熱を注ぐ世川祐多さんが、「ブチャ虐殺」と82年前に起きた「カティンの森事件」の酷似性を指摘。その上で軍規の悪いロシア軍の行いのため、一般のロシア市民にまで憎悪の目が向けられることを危惧しています。

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カティンの森とウクライナ

今、ロシア軍が撤退した場所から虐殺された死体が山のように見つかっている。

ロシアはウクライナがやっているという嘘八百としか思えない抗弁をして水掛け論を演じている。

ここに私は、今ウクライナに身を置いているわけでもなく、歴史上を生きて目撃したわけでもないが、なんだか変な既視感を抱いた。

カティンの森だ。

今の状況が第二次大戦時に起きたカティンの森事件にあまりにも似ているのである。

独ソ不可侵条約で、ソ連はポーランド東部を侵攻し併合した。その際にたくさんの人を虐殺し、カティンの森に遺棄した。ドイツが不可侵条約を破ってソ連に侵攻し、虐殺死体の山を見つけた。ソ連の仕業としてドイツがこれを世界に告発し、赤十字を動かすと、ソ連はソ連でドイツの仕業と抗弁した。調査団は後ろ手に縛られて頭部を撃ち抜かれたロシアンスタイルの虐殺方法などで、ソ連の仕業だろうと感じていた。ロシアは頑として認めない。ソ連の仕業だと決着したのは、冷戦終結後であった。

今のウクライナを見ているようだ。

人の国を侵攻して併合するスタイル。カティンや満州・チェチェンなどでの結果から強制連行や虐殺・レイプの印象が強いロシア軍。後ろ手に縛って頭部を撃ち抜くというスタイル。

カティンの森のような気がしてならない。樺太や宝田明さんが生き証人であった満州でも、そんな感じであったようだ。

偏見は良くないにせよ、ロシア軍も毎回このパターンだと、ルールを知らず、武人の情けもかけられない、虐殺好きな野蛮人ということでロシア人全体のイメージが確定してしまう。

ある国民や民族に一度植え付けられたイメージが払拭されることは難しい。こんなことを軍隊が定期的にし続けていると、今後世界の人から差別されたり憎まれたりするのは、ロシア人だ。

気の毒であるし避けたいのは、何も悪いことをしていないロシア市民にまで世界の人から憎悪の感情が向けられ、長らく蔑視や偏見が注がれること…。

残念ながら虐殺のない戦争というのも聞いたことがないが、とりわけ軍規が悪いことがお家芸のロシア軍には、そろそろ成長してほしい。

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image by: David Peinado Romero / Shutterstock.com

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