そしてその“分断”とウクライナ紛争の影響は日本が位置する北東アジア地域でも顕著になってきています。
その一例は言うまでもなく【北朝鮮による相次ぐミサイル実験】です。このところ、急に目覚めたかのように、ミサイル発射実験が強行されています。ICBM級を含むミサイル発射実験、最近では核弾頭も搭載可能と言われる戦術誘導弾の実験、そして巷で噂される核開発の可能性など、急に北朝鮮ネタが、安全保障の議論に上ってくるようになりました。
現在、アメリカをはじめとする欧米諸国がウクライナ紛争にかかりきりになっていて、北朝鮮が挑発行為を行っても即時介入する余裕がないとの読みなのか、それとも今回、ロシアのプーチン大統領が核兵器の存在を直接戦争の防波堤のように用いていることに“やはり核を持たないといけない”という確信を持ったのか、とても大胆な行動に出ています。
特に今後、数週間ほどの間には、国際社会の反対を押し切って、安保理決議違反となる核実験を強行すると見られており、それは先日実験した戦術誘導弾に搭載可能なレベルまで小型化された核弾頭の最終的な実験ではないと言われています。
同じ弾頭は、北朝鮮が開発中のICBMにも搭載可能と分析されていることもあり、実質的に欧米諸国をにらむ抑止策になり得るとさえ言われています。
もちろんアメリカ政府も日本政府もこの状況を静観しているわけではないようですが、どちらかというと安全保障関連のフォーカスはウクライナ・ロシア対応に注がれているように思われます。
中国も、ウクライナ紛争の激化と長期化の影で、しっかりと自国の安全保障環境の整備と、宿願に向けた準備を進めています。
その典型例は、台湾併合に向けた作戦の練り直しとアップグレードです。これまでロシアによるウクライナ侵攻直前と同じく、中国の分析は、台湾への武力侵攻を行っても、米軍などが態勢を整えて台湾海峡に到着する前に、台北を攻略し、現行の政府政権を崩壊させることが出来て、台湾の地でアメリカの到着を出迎えられるというような見方をしていたようです。
それが今回、ロシア軍は、当初数日以内には攻略し占領すると思われていたキーウを占拠することは出来ず、各地で大変苦戦を強いられている状況に直面し、
中国政府と軍は対台湾侵略の戦術と戦略を練り直す必要が出てきたとのことです。
ただそのためには、今、アメリカや日本などの周辺国からのちょっかいを受けたくはないことから、台湾から目を離させるために、尖閣エリアへの侵入を繰り返し、日米の出方を探っています。
同様に、ロシア軍と共同で、中ロの艦船が日本近海を通過するという威嚇・挑発を行って、そちらに目を向けさせているように感じます。
現時点では、腹立たしく思うものの、日米ともにその“事実”を認識していることを示しつつ、特段、警察行為などは実施せず、レッドラインぎりぎりの線でとどまっていますが、常に偶発的な衝突からの“別の紛争”勃発の危険性をはらんでいます。
【日本近海が、ウクライナ情勢を受けて手薄になっているからだ】という批判を耳にすることがありますが、実際にはグアム・沖縄に代表される在日米軍および太平洋艦隊は、ウクライナ情勢と絡んだ動きをしておらず、備えはOKだと思われます。反応を控えている理由は、恐らく、今、ロシアへの対応で手いっぱいのところ、中国を下手に刺激して、戦端を開きたくないという思惑があるのだと思います。
そしてロシアは、ウクライナ戦線にもシベリアからの部隊を送り込んでいますが、北方領土を含むエリアの“守り”は怠っておらず、しっかりと当該地域に対する日本の、そして米中の動きを監視しているとのことです。
日本としては有事に対する緊急の対応策をしっかりと準備しておく必要があると考えます。
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