ここで「非核・開放・3000構想」というのは李明博政府の2008年時点で、経済、教育、財政、インフラ、福祉などの包括的パッケージ支援を本格化し、10年内に北朝鮮を1人当り国民所得3,000ドルに達するよう支援するというもの。
政府内には北朝鮮問題を扱う省庁が多数あり、北朝鮮を眺める見方もすべて違う。外交部は非核化外交の相手に、国防部は主敵として、国情院は防諜の対象と見る。
このような多様な立場が牽制と均衡を作り出し、対北朝鮮政策が樹立されるのが正常だ。
実際、今のように北朝鮮が誰の言うことも聞かずに韓国を威嚇し、頑として高強度の挑発に向かっていく場合、最も苦しい省庁は北朝鮮を韓民族として一つの血筋をひく同族、共存しなければならない統一のパートナーと見る統一部だろう(北朝鮮は権候補者に対する聴聞会が行われていた同日午後にも、短距離弾道ミサイルの挑発を行った)。
しかし、これは同時に「強対強」対決局面でも、地道に北朝鮮との対話と和解を準備する砦は統一部にならなければならないという意味にもなる。
権候補者は長官になれば、真っ先に北朝鮮に「何の話でもいい、まずはしゃべろうじゃないかという提案をしたい」と述べた。
「北朝鮮核問題の平和的解決のために対話の扉を開いておく」と言及した尹大統領の就任演説に対しても「少し不満な点があるとするなら、統一部長官候補者としては『扉を開けておく』という部分は少し消極的過ぎて、もっと積極的に『対話を提案する』と出てくればもっと良かったのではないかと思う」とも述べた。
北朝鮮が対南核先制使用の脅しを目論んで核実験を準備する現時点で、一歩勇み足のようにも見える。
しかし彼の言葉通りそれが「統一部長官」候補者としてはぴったりの速度なのかもしれない。あくまでもバランス感覚の整った人物とみてよい。
今後の彼権寧世の動きにご注目いただければありがたい。意味ある言動をとってくれるものと期待する。
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