このままではジリ貧。郊外ショッピングセンター内のアパレルに生き残り策はあるか?

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コロナと戦争がアパレル業界に与えている影響は大きく、安価な商品を扱う専門店として効率化を図り現在の“最終形態”となった郊外SC(ショッピングセンター)内のアパレルショップが生き残るためには、環境の変化に応じた対策が必須のようです。今回のメルマガ『j-fashion journal』では、著者でファッションビジネスコンサルタントの坂口昌章さんが、薄利多売を見直し、高くても買ってもらうための戦略を、生産・販売方法の工夫から売ったあとのケアまで多角的に提示。世界の変化が大きいいま、アパレルも国内をメインとして地産地消する方法を考えるべきと結んでいます。

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郊外SC(ショッピング・センター)立地アパレルショップの生き残り策

1.最終形態のアパレルショップ

最適なアパレルショップの広さはどの程度だろう。小売店に卸売をするアパレル製造卸は、生産効率を上げるためにアイテムを限定していた。ブラウス専業アパレル、ボトム専業アパレル、ドレス専業アパレル等である。

アパレル製造卸の延長で直営店を構成する場合、アイテムを限定したシングルライナー型か、コーディネートを重視したトータルコーディネート型かを選択する。現在、シングルライナー型ショップは少数派だ。メンズのシャツ専門店は存在しているが、レディースはほとんどがトータルコーディネート型である。

アパレル商品を生産するには、生産可能な数量、生産ロットが問題となる。生地を織る生産ロット、生地を染色する生産ロット、製品を縫製する生産ロット等がある。サンプル帳が用意されている生地問屋から生地を仕入れる場合も基本的に1反(50m)単位だ。

オリジナル商品だけで展開するショップの場合には、生産ロットに見合った店舗数が必要になる。初期のデザイナーブランドは小さい面積のショップを多店舗展開した。価格が高い商品を扱う店は、面積も在庫数量も少なくて良い。しかし、低価格の商品を扱う店は、大量の商品を陳列できる広い面積が必要になる。

アパレルショップは、低価格化と共に面積が拡大し、丁寧な接客からセルフ販売へと移行していった。そして、オリジナル企画の商品だけでなく、仕入れ商品、雑貨小物の比率が増えていった。

店舗の大型化のメリットは、より多くの商品を展開し、売上を上げることだけではない。どんなに小さな店舗でも、ローテーションを考えると最低でも3人の販売員は必要だ。5坪の店を3人で回すより、15坪の店を3人で回した方が効率的だ。店舗の大型化は効率の良い店舗運営の手法でもある。現在の郊外SC立地のアパレルショップは、バブル崩壊以降の安価な商品を扱う専門店の最適化した最終形態と言えよう。

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