プーチンが直面する深刻な問題。ウクライナ紛争の戦費調達に垂れ込める暗雲

 

それでも、東部地域では、ロ軍優勢であり、ウ軍は時間稼ぎをして、欧米からの兵器・弾薬の到着を待つ必要がある。ポーランドからウクライナに供与されたAHSクラブ自走榴弾砲18両も最前線に投入したというが、それでも数が足りない。東欧諸国は自国の防衛限界までを提供している。

スロベニアはウクライナに35両の歩兵戦闘車を供与したが、これでスロベニアの防衛に最低必要な分しかないという。ロシアの脅威がある国は、自国防衛と同様にウクライナ戦争でのウ軍の戦いを応援する。

しかし、フランスのマクロン大統領など西欧諸国は、所詮自分ごとではなく、ウクライナでロ軍を叩きすぎるのを恐れている。叩きすぎると、ロ軍が核使用になり、核戦争になるからで、西洋諸国は、NATO型戦車の提供でウ軍が勝ちすぎるという理由で、提供拒否している。米ロは何かの取り決めをしているようでもある。

マクロンの「プーチン氏に屈辱を与えてはならない」という言葉が端的に、それを表している。ということで、スペインが供与するとした1980年代の古いレオパルト2A4の戦車の供与を拒否した。

これに対して、ウクライナのゼレンスキー大統領が怒ったことで、釈明のために、フランスのマクロン大統領、ドイツのシュルツ首相やイタリアのドラギ首相と追って東欧ルーマニアのヨハニス大統領もキーウを訪問して、欧米が一体でウクライナを応援しているという体裁を取った。ゼレンスキー大統領も不満ながら了解したようである。

一貫して、ウクライナを応援するのが、英国ジョンソン首相であり、ウ軍が必要な兵器をすぐに提供し、かつ西欧への説得を行うので、ゼレンスキー大統領はジョンソン首相に何事も相談しているようで、西欧3トップ訪問後、すぐにジョンソン首相がゼレンスキー大統領と会談している。

今回は、ウ軍の主力部隊の損耗が激しく、ウ軍内での訓練ができず問題になっているが、これに対して月1万人規模の軍事訓練プログラムを提供するという。英国の親身な応援にウクライナ国民は深く感謝している。

もう1つ、英国が中心に進めているのが、ウクライナの穀物輸出のルート開発で、ウクライナ西部リビウからポーランド・バルト海のシフィノウイチェ港まで鉄道で運び、スペインのア・コルーニャ港まで海路でトウモロコシ1万8,000トンを輸送した。このため、リビウに穀物倉庫を作り、ウクライナ国内の穀物を鉄道で運ぶ体制を作ったが、次はロシアの海上封鎖を解いて、オデッサ港から英国海軍などの護衛付きで運ぶことを目指して、ロシアを説得している。

英国は歴史があるので、戦争時に何が問題かを的確に把握できるようだ。世界覇権の隠れた主役は、英国かもしれない。

一方、南部ヘルソンへのウ軍反撃は5つの方面から行い、ロ軍は広い戦線に兵力を張り付ける必要があり、主力部隊は東部戦線に送っているので、予備兵力で戦う必要があり、それも底をつきつつあるようだ。

このため、主力ではないウ軍に押されている。ウ軍はヘルソンまで15キロまで迫っている。この地域ではパルチザン活動も盛んで、ロ軍がいつまでもつのかが焦点になっている。しかし、ウ軍の総反撃は欧米からの兵器が割り当てられたら行うとした。

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