プーチンが直面する深刻な問題。ウクライナ紛争の戦費調達に垂れ込める暗雲

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ウクライナ紛争を巡り国際社会から大きな非難を受けながら、国内外に対して相変わらず強気の姿勢を崩すことのないプーチン大統領。しかしロシアは今、戦争の継続を困難にするほどの事態に襲われているという見方もあるようです。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』では日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さんが、ロシアが直面している深刻な危機を紹介。プーチン大統領が立たされている窮地と、なりふり構わず停戦を求めなければならない苦しい事情について詳しく解説しています。

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ロシア経済の減速要因

ウクライナ戦争でロシアは制裁を受けている。この制裁でロシアの生命線である天然ガス田とLNG施設や石油施設の維持が難しくなっているようだ。ロシア軍がセベロドネツクをほぼ掌握したが、長期戦での戦争維持経費の危機になってきた。今後を検討する。

ウクライナ東部での戦争は、ロシア軍はセベロドネツクをほぼ制圧した。ロ軍は、戦力を集中して攻撃し、特にリシチャンスクに繋がる3つの橋をすべて破壊して、市内のウ軍への補給をやりにくくしている。まだ、市内でウ軍は抵抗しているが、徐々に撤退のはず。

ドネツ川北側の高台のリシチャンスクからのウ軍砲撃も効果的ではあったが、ロシア軍の203mm自走カノン砲などの威力もすごく負けた。

まだ、欧米提供の兵器の10%程度しか、ウ軍の実戦に使用できていないという。訓練が必要であり欧米兵器への転換が遅れている。6月中旬までには訓練を終えて、実戦に出てくるとしたが、セベロドネツク攻防戦には間に合わなかったようである。

期待されたスイッチブレードもあまり使われていないようであり、ロ軍の203mm自走砲を叩く方法がないようである。SU-25、MIG29やTB2で叩きたいが、この地域での防空体制もロ軍はしっかりしていて、電子戦でも優位に立っていた。ウ軍の電波を妨害して、ウ軍砲撃の正確度を下げていた。ロ軍の全能力を集めただけはあった。

今まではウ軍のメインはソ連製の榴弾砲を使用していたが、その砲弾も尽きたようであり、リシチャンスクに置いたM777榴弾砲も7,000発の砲撃で砲身も使用限界になり、砲身の替えの要求もしている。すごい数の砲撃をしたが、それより、ロ軍の砲撃の方が多かったということである。

セベロドネツクの次は、リシチャンスクへの攻撃になる。ロ軍の砲撃が強いのは、持てる砲を集めているからであり、砲撃精度はないが、絨毯爆撃をするので、その一帯が焼け野原になる。このため、リシチャンスクもロ軍の攻撃で陥落する可能性がある。次はスラビャンスクになる。人的損害が大きくなる前に、撤退することも必要であり、ウ軍としても、その決断が重要であろう。

反対にロ軍は大隊戦術群BTGでの攻撃がなくなり、戦車中隊や小隊での攻撃になり、戦車の枯渇が起きているようだ。装甲車両もなくなり、徒歩での攻撃も増えている。ロシア軍も大きな損耗が出て、継戦能力に問題が出ている。

このため、極東に配備していたT-62戦車と兵員も大量にウクライナの前線に送っている。このため、極東シベリアの軍備は、ドンドンなくなっている。この状況は、第1次世界大戦時と同様な消耗戦でロシアとウクライナが戦っている。

しかし、ソ連時代からの爆弾備蓄はすごい。それを一か所で使うので、1日5万発という相当な量を狭い個所で消費している。このような攻撃はいつまで続けられるのかは疑問であり、そう長くは続けられないはず。

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